田嶋清一(東京福祉大学元教授)

 独立行政法人「日本学生支援機構」が実施した「外国人留学生在籍状況調査」によると、東京福祉大学に在籍する留学生数は、2018年5月1日現在、5133人(全国留学生数が多い大学ランキングは、早稲田大学に次いで第2位)で、その8割の4208人は研究生(学位が授与されない非正規の留学生)として受け入れられています。この研究生については、法令上受け入れ人数の上限は規定されていません。このことが、東京福祉大が研究生数をこの4年間で10倍以上に激増させ、今回の大量所在不明者を出した土壌になっていると考えられます。

 東京福祉大は、今年2月6日付で文部科学省に対し、中島恒雄元総長(以下、中島氏)の経営や教育への関与の有無などについての回答書を提出しています。回答書の「外国人留学生における在籍管理について」の項目によると、2016年度の所在不明者259人と17年度の所在不明者484人を合わせて、2年間で計743人が所在不明のため除籍になったことを、大学側が認めています。このような大量の所在不明は、多くの不法就労や不法残留の温床になる可能性があるとされています。 

 また、この回答書の大きな問題は、事実とは違うと思われる記述が随所にある点です。例えば、回答書の「ファカルティ・ディベロップメント(大学の授業改革、以下FD)専門部会からの要請に基づく、教員研修会への出席、授業見学について」には、以下のような記述があります。

 「(中島氏による)助言は、あくまでも中島氏に同行するFD部会員をはじめとした教職員に向けてだけであり、授業をしている教員や学生に対し、直接講義したり、指導したりするなどは行っておりませんでした。この授業見学について学生から本学への苦情は一切ありませんでした」

 「全学生が希望する教員や公務員に全員合格できるように、キャリア支援授業を更に充実させていますので、学生や保護者から感謝の声は沢山ありますが、苦情は一切ありません」  

 「(中島氏は)FD関係者の依頼を受けたため、遠慮しながら間接的なアドバイスをしただけ」

 回答書には「苦情は一切ありません」などと記載されていますが、実際には、多くの学生から労働組合(交通ユニオン)事務所に苦情のメールが来ています。

 中島氏も臨席して行われた公務員試験対策授業を受けていた学生からのメールには、「対策授業をしている先生に対して、自分(中島氏)が気に入らない教え方であれば注意し、あることないことで文句を言ってきます。また、授業中にもかかわらず、中島氏は隣に座る特任教授と名乗る人と普通の(大きさの)声でしゃべり、携帯電話はマナーモードにしておらず、携帯電話が鳴ると電話に出て普通の声で話しているのは迷惑極まりないだけでなく、かなり常識に欠けている人だと思いました。最近の研究生のことがニュースになり、行政から立ち入り調査が入ったので、もう二度と関わらなくなるだろうとは思いましたが、このカリキュラムを見る限り、今年も中島氏が対策授業に来るとなれば恐怖を覚えます。このカリキュラムには私を含め、クラスのほとんどの人が不満を言っております」との証言があり、回答書の記述が事実ではないことが明らかです。

 以下、研究生大量所在不明の原因として、研究生への管理体制が整っていないことに加え、巨額の金もうけ主義が、背景にあることを明らかにします。  
記者会見する東京福祉大元教授の田嶋清一さん(右)=2019年4月10日、文科省
記者会見する東京福祉大元教授の田嶋清一さん(右)=2019年4月10日、文科省
 2008年1月に、刑事事件を起こした罪で懲役2年の実刑判決を受けた中島氏は、同年10月の控訴審で判決が確定し収監されました。しかし、中島氏は10年7月の出所後まもなく、2年間の収監を経ても大学内における権力が低下していないことを、教職員に対して誇示しようとしました。この行為は大きく二つあります。 

 一つは、人事権の誇示です。中島氏は出所後すぐに、当時東京福祉大の理事長だった実母の名義を使い、幹部教職員への解職降格人事を次々と断行し、いわば恐怖政治による裏支配体制を敷いたのです。実刑判決確定や理事長辞任によって法的に権限はなくなっても、実際の「権力の所在」が自分にあることを知らしめるために、理事長、学長、事務局長などの重要ポストを解職降格させ、その代わり、自分が「意のままに操れる人物」を就任させていきました。それはまさに今日に至るまで続いている、中島氏による裏支配体制です。