もう一つは、経営能力の誇示です。研究生をターゲットにした、432億円(その内訳は、大学が4年間累計2万人で240億円、専門学校で192億円)の荒稼ぎプランを、中島氏が、2011年9月21日の会議で次のように語っています。

 「研究生は10万円、レギュラーコースは20万円入学金払ってくれれば…、仮合格証を出しますよと、よそ受かったら…入学金預かったのは返しますと、留学生から見ると…、行くとこが決まって、ビザ心配しなくていい、受験して全部落ちたら、ビザ心配せなあかんだろ。ビザは安心ですよ、それからお金は返しますよ、というと、いっぱい来るんですよ。だから、これ、パンフレットに載っけるなっつってんだよ、まねするから…、よその大学が。おれのところだけがやるから、これは稼げるわけだよ。何でかって言ったら、定員がないからいくらでも入れられる。(事務局長:8千人っていうのが。いや、一応、460人となっているんですけども、それは関係ないですね)8千人まで入れていいんか。(事務局長:8千人まで、8千人以下)合計してみていくらになる?(財務担当課長:192たす240。432ですね。432億。)432億円の大きな学校になりますよ。おれ、経理わかんないけど、こんな風にしてこうやったら、こんだけ銭がもうかる」

 このように、中島氏は、自身の権力が低下していないことを、教職員に対して誇示する必要上から、研究生への管理体制をほとんど考えないまま、巨額の金もうけ主義を先行させたのです。そのことが、研究生大量所在不明問題に繋がっていることは明らかです。

 そもそも中島氏は実刑判決確定以降、文科省の行政指導によって「大学の経営と教育に関与してはならない」とされています。ゆえに「法的に権限のない中島氏が、なぜ出所後も、大学の経営と教育に関して影響力を行使できるのでしょうか?」と、最近この質問が記者からの取材を受ける中で最も多いのです。

 この質問への答えは明白です。教職員に大学のやり方(つまり中島氏のやり方)への批判を禁止して、自由にものを言わせない組織をつくってきたから行使できるということです。自由にものを言う人格を否定する構造があらかじめできているのが現状です。中島氏の長年の口癖は「(教職員の)代わりはいくらでもいる」であり、これで教職員を抑えつけているのです。

 具体的には、中島氏に対するイエスマン以外、1年雇用の契約とさせられていること、全ての教職員に対する研修会での威圧、及び中島氏による幹部教職員への個人的恫喝です。その結果、大学の前身の専門学校時代以来、辞める教職員が多く、教職員の中で密かに「回転の速い学校」と言われています。

 しかしその一方で、諸般の事情で辞めなかった教職員の中には、自由にものを言えない雰囲気の中で萎縮して、何をしてもどうせ駄目だと思い、無力感に陥り、体調を崩して鬱々とする状態が少なからず見られます。これは心理学用語で「学習性無力状態」と呼ばれ、まさにこうした状況です。
東京福祉大学王子キャンパス=2019年3月14日、東京都北区(市岡豊大撮影)
東京福祉大学王子キャンパス=2019年3月14日、東京都北区(市岡豊大撮影)
 また、2015年11月12日に、私は大学を被告として損害賠償請求訴訟を起こしましたが、直接学長室で同月25日に聴取した限りでは、東京福祉大の学長は、そのことについて、ほとんど知らされていませんでした。大学の現状及び、あり方について、計3回にわたって私が聴取した際の学長の口癖は、「私は無力ですから」というものでした。

 そんな彼らを、法的に権限のない中島氏が、大学の経営と教育に関して、裏支配し影響力を行使するのは難しくないのです。ただ、水面下で力を蓄えて大学の「民主化」を志す方々がいらっしゃるはずです。彼らの今後に期待したいと思います。