2019年06月27日 15:36 公開

オーストラリアなどのメディアは27日、同国の男性が北朝鮮で拘束された模様だと伝えた。オーストラリア政府は同日、早急に真偽を確かめていると発表した。

オーストラリアや韓国のメディアは、この男性が平壌に住む学生のアレク・シグリーさん(29)だと報じている。

オーストラリア政府は「非常に深刻な事態だ」とし、韓国の大使館職員が北朝鮮の「関連当局者」と接触していると明らかにした。

連絡途絶えたまま

シグリーさんの家族は27日、声明を出し、「アレクが北朝鮮で拘束されたとは確認されていない」と述べた。

その上で、「オーストラリア時間の火曜日(25日)朝以降、アレクは友人や家族と電子的に連絡が取れていない状況だ。これは彼にしては普通ではない」と説明した。

シグリーさんはアジアを研究しており、朝鮮語に堪能だという。北朝鮮に拘束されたかもしれない理由はわかっていない。

豪ABCテレビは、シグリーさんの友人が今週初め、行方不明の届けを出したと伝えた。

北朝鮮の大学で勉強

パース出身のシグリーさんは昨年から北朝鮮に滞在し、金日成(キム・イルソン)大学で北朝鮮文学の修士号取得を目指している。西側諸国からの観光客にツアーを提供するビジネスも行っているという。

今年3月には英紙ガーディアンに寄稿し、自分は「北朝鮮にする唯一のオーストラリア人」だと語っていた。

また、中国に留学中に北朝鮮出身の人に出会い、住んでみようと思ったと説明。その上でこう述べていた。

「学生ビザ(査証)で長期滞在する外国人として、私はこの国で前例がないほどのアクセス権を得ている。同伴者なしで自由に街を歩き回れる」

昨年の英スカイニュースのインタビューでは、西側諸国とは正反対の体制に住んでいても「全く危険を感じたことはない」と話していた。

スイス大使館通して外交

オーストラリアは北朝鮮に大使館を置いておらず、スイス大使館を通じた限られた外交アクセスしか有していない。

オーストラリアのスコット・モリソン首相は現在、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため大阪に滞在している。

過去にも外国人拘束

北朝鮮はこれまでも、不法入国や「国家に対する敵対犯罪」を犯したとして外国人を拘束したことがある。

2014年には、オーストラリアのジョン・ショート氏が北朝鮮の観光地にキリスト教のパンフレットを置き去りにしたとして逮捕され、国外追放となった。北朝鮮では宗教活動が厳しく制限されており、宣教活動を行った人物がたびたび逮捕されている。

米国人学生のオットー・ワームビアさんは2016年に北朝鮮を旅行中、ホテルにあった政治宣伝ポスターを盗もうとしたとして逮捕された。

その後、1年半にわたって拘束され、米国に帰国した際には意識不明の状態で、数日後に死亡した。

北朝鮮は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染したと説明し、虐待を否定。一方、ワームビアさんの両親は拷問が原因で死亡したと主張している。

国連は北朝鮮の度重なる人権侵害を非難しており、国民は「システム化されまん延した、目に余る人権侵害の中で」生活していると指摘している。

昨年からはアメリカや韓国との首脳会談が実現するなど歴史的な変化もあるものの、核開発をめぐる緊張は収まっておらず、北朝鮮はなお世界から隔絶した状態にある。

(英語記事 Australian student 'arrested in North Korea'