2019年07月04日 12:30 公開

北朝鮮の国連代表部は3日、アメリカが先月、国連加盟国に対し、北朝鮮労働者を送り返すよう求めていたとして、「敵対行為に躍起になっている」と非難した。両国はこのわずか3日前、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線のある板門店で、電撃的な3回目の首脳会談を行ない、数週間以内に非核化をめぐる実務者協議を再開することで合意していた。

北朝鮮国連代表部はこの日、アメリカは「制裁に取りつかれている」との声明を発表。朝鮮半島の「平和的ムードを台無しに」しようとしていると非難した。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は先月30日、大阪での主要20カ国・地域首脳会議(G20 サミット)閉幕後に訪韓し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と3回目の会談を行なった。会談は、トランプ大統領がツイッターで金委員長に呼びかけてから、わずか1日で急きょ実現した。

トランプ氏は南北軍事境界線を挟み、金委員長と握手した後、境界線をまたぎ、現職の米大統領として初めて北朝鮮側に入った。

その後、両首脳は板門店の韓国側施設「自由の家」で約1時間、通訳を交えて会談。トランプ大統領は、「詳細を取り決めるため」に2、3週間の内に実務者協議を再開すると、金委員長と合意したと明らかにしていた。

ところが、この電撃的会談からわずか3日後、北朝鮮国連代表部の声明では、論調が一変。近年の関係悪化に至った非難合戦と同じような厳しい調子に逆戻りした。

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北朝鮮の主張

北朝鮮国連代表部は今回の声明について、アメリカ側の主張に対抗するものだと説明。アメリカは、北朝鮮への石油輸出を制限する2017年の国連安保理制裁に、北朝鮮が違反したと非難している。

北朝鮮代表部はさらに、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスが国連の全加盟国に対して、北朝鮮への追加制裁を求めて書簡を送ったことも、批判した。

報道によると、6月29日付のこの共同書簡は、国連加盟国に対し、北朝鮮労働者を本国に送還するよう呼びかけている。

北朝鮮は声明で、「この共同書簡ゲームは(中略)トランプ大統領が首脳会談を提案したのとまったく同じ日に配布された。このことは見過ごせない。アメリカが実質的に、我が国への敵対行為にますます躍起になっている現実を示すものだ」と主張した。

「すべての国連加盟国は、朝鮮半島で作られた平和的ムードを台無しにしようとする、アメリカの企てを警戒し続けなくてはならない」

さらに、アメリカが経済制裁を「すべての問題の万能薬」だと考えていることは「かなりばかげている」と付け加えた。

これまでのところ、アメリカ側はこの声明に反応していない。

これまでの米朝関係

昨年6月、現職の米国大統領と北朝鮮の最高指導者による、史上初めての会談がシンガポールで行なわれ、北朝鮮の核・ミサイル問題解決への機運は高まっていた。

両首脳は、朝鮮半島の「完全なる非核化」に取り組むことで合意したものの、具体的な内容に欠けていた。

今年2月にヴェトナム・ハノイで行なわれた2回目の会談では、北朝鮮が一部の制裁解除と引き換えに、同国の核開発を手放すのではないかとの期待が集っていた。

しかし、2回目の会談は、物別れに終わった。トランプ大統領は直後の記者会見で、金委員長が「制裁の全面解除を求めてきたが、それはできなかった」と、合意に至らなかった理由を明かした。これ以降、米朝交渉は停滞したが、両首脳は親書を交換し合った。

3回目の会談での両首脳のやりとりは、主に互いに敬意を表するものだった。

トランプ大統領が北朝鮮側に足を踏み入れたことについて、金委員長は、「不幸な過去を清算し、新たな未来を切り開こうという意欲の表れだと信じている」と述べ、トランプ氏は「軍事境界線を越えたことは素晴らしい名誉」だと応じた。

かつて、金委員長を「リトル・ロケットマン」と呼んだトランプ氏は、金委員長との友情は「とりわけ素晴らしい」と評価。「世界にとって素晴らしい日」になったと述べた。

(英語記事 North Korea: US is hell-bent on hostility