これは、いわゆる「旧徴用工問題」での韓国政府側の不当な対応を意味している。安倍首相も党首討論の席上で、「相手の国が約束を守らない中では優遇措置は取れないということであり、当然の判断。世界貿易機関(WTO)に違反するということでは全くない」と述べている。

 要するに、今回の措置が「報復」ではなく、信頼関係が構築できない理由として挙げているわけである。これは正しい認識だろう。

 この連載でも何度も考察してきたことだが、現在の日本と韓国に信頼関係は構築できていない。これは、もっぱら旧徴用工問題や慰安婦問題における文在寅(ムン・ジェイン)政権による「ちゃぶ台返し」ともいえる、日韓合意への「裏切り行為」に原因がある。

 韓国の動きに対しては、日本が「しっぺ返し戦略」を採ることが、長期的な利益を得る上で日韓「双方」に好ましいと、筆者は提案してきた。韓国が強烈なしっぺ返しを受ければ、それ以降の行動を「協調」的な姿勢に変更する可能性が高まる。それは要するに、日本と韓国の長期的に安定した関係をもたらすだろう。

 もっとも、今の文政権は、WTOへの提訴をちらつかせたり、文大統領が自ら撤回を求めた際に「世界が懸念している」と言及するなど、高圧的な態度に変わりはない。日本政府は現在の姿勢を強く堅持して、安全保障の国際的取り決めに準拠して、今後も「ホワイト国」の見直しなどを進めていくべきだろう。

ソウルのスーパーで陳列棚から下ろされた日本メーカーのビールやたばこ、食品など=2019年7月7日(聯合=共同)
ソウルのスーパーで陳列棚から下ろされた
日本メーカーのビールやたばこ、食品など
=2019年7月7日(聯合=共同)
 先の後藤氏は「国民の感情を抑えるのがリーダーの務め」と述べ、安倍首相に今回の対応の見直しを迫った。しかし、ここまで解説したように、韓国に今までと同様の輸出手続きを認めることが、よほど感情的なもの、つまり韓国に対する「非合理的な身びいき」として国際社会から糾弾されかねない。

 JNNの世論調査では、「韓国輸出規制」の強化について「妥当だと思う」人は58%で、「妥当だと思わない」の24%を大きく上回っている。これを「国民の感情」的リアクションだと思うのは、あまりに国民を見下した意見ではないだろうか。

 世論の熱狂から距離を置き、冷静に報道することはもちろん重要だ。だが、「対韓禁輸」だとか「旧徴用工のことを持ち出せば、WTO訴訟で負ける」などという事実とも違い、また論点がずれている物言いをする人たちこそ、とても感情的に思えて仕方がない。

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