国から中小企業に対して、男性に育児休業を取得させた場合、57万円(育休1人目の金額、大企業は28・5万円)を支給している。さらに、厚労省が設けている生産性要件を満たした企業には72万円(大企業は36万円)を支給している。中小企業は、ぜひこの資金を活用していただきたいのだが、ほとんど知られていないのが実情だ。厚労省は周知に力を入れていただきたい。

 しかし、重要な人材が抜けてしまったら57万円程度でその穴は埋められないし、事業自体が回らなくなってしまうという意見もあるだろう。ここで理解していただきたいのが、育児休業制度の支給要件に月に80時間まで働くことが認められているということだ。

 月の営業日が20日間とした際に、1日に最大4時間まで働くことができるのだ。10時に出社し、14時まで働くことができるという計算になる。労働生産性の向上を図れば、十分に業務も回るだろうし、その機に業務を見直し、生産性向上も狙えるだろう。必ずしもマイナスに働くものではなく、プラスにも作用するように皆が一丸となっていく好機ととらえていただきたい。

 先日、化学メーカー、カネカ元社員の妻のツイッター投稿をきっかけに、育児をする男性への嫌がらせ、いわゆる「パタハラ(パタニティーハラスメント)」疑惑騒動が起こった。これにより、カネカの株価は一時大きく下落した。これからの時代に男性育児休業制度の整備は企業評価にもつながってくるということが明らかになった。逆に、働き方改革の一環として、男性育児休業制度を整えていった企業は大きく採用力を上げる時代を迎えている。

 また、育児休業の取得は雇用保険の加入者、つまり企業に勤務している人や公務員に限る。つまり、フリーランスや個人事業主は対象外となり、仕事を休めば無給となる上に、育休の給付金をもらえないという枠の外にいるのだ。現在の日本におけるフリーランスの人口は1千万人にもなるといわれ、労働力人口に占める割合は17%となる。支援の拡大には、財源の確保などが課題となるが、財源論に終始することなく、職業を問わず男性が育児休業を取得できるようにする社会を目指すべきだ。

 私は3年前にある女性議員から指摘をされたことがある。「あなたが休みをとって家にいたって邪魔なだけよ」と。

 しかし、私は炊事、洗濯、掃除、全ての家事ができることを告げたところ、驚きを隠せない様子だった。恐らく、ご自身のご主人さまが家事を全くやらない「昭和の男」だったのだろう。これを「父親ゴロゴロ問題」という。育児休業を取得しても「戦力」にならず、子供だけではなく、さらに父親の世話をしなければならなくなれば本末転倒である。
元衆院議員の宮崎謙介氏と金子恵美氏
筆者の宮崎謙介氏と妻の金子恵美氏
 そこでフランスなどで行っているのが父親学級というもので「父親ブートキャンプ」とも呼ばれる。同キャンプでは、約14日間かけて父親に育児と家事を教える。父親が家庭で子育てができる戦力となるよう養成するのだ。日本にも母親学級というものがあるが、それを同時に父親に向けて開催すればいいし、今でも一部でそのような動きが出てきている。企業にも研修を行ってもらい、官民が一体となって取り組めば、この問題は解決できるだろう。