2019年07月10日 15:23 公開

デンマーク政府は、写真共有アプリのインスタグラムのフォロワー数が33万人を超える同国の女性が遺書を投稿し、2日間にわたりオンライン上に残った状態になっていたことを受け、「インフルエンサー(ソーシャルメディアなどで大きな影響力を持つ人)」が投稿する内容を規制する方針だと明らかにした。

33万6000人以上のフォロワーを持つインフルエンサー、フィー・ラウルセンさん(23)が投稿した遺書には、3万以上の「いいね」が付いたほか、約8000件のコメントが寄せられた。

家族がこの投稿を取り下げることができたのは2日後のことで、この間、遺書はオンライン上に残ったままだった。家族はその後インスタグラムで、ラウルセンさんが病院で回復に向かっていると明らかにした。

これを受けデンマーク国内では、インフルエンサーがオンラインで発信する内容の監視方法について議論が巻き起こった。

デンマークの児童・教育省は、インフルエンサーには、他のメディアと同様に、「編集責任」があるとしている。

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「報道機関と同じ基準で」

児童・教育省のパーニル・ローゼンクランツ=テール氏は、BBCの取材に対し、インフルエンサーには、「従来のメディア」の基準に沿った「編集責任」を負って欲しいと述べた。

インスタグラムをはじめとするSNSでは、ユーザー本人以外はアカウントにアクセスできないため、不適切な内容を取り下げる権限を持つ検閲役を設けるなど、報道機関の倫理基準を適用する考えだという。

ローゼンクランツ=テール氏は、投稿内容の規制の対象となる条件について、「一定のフォロワー数に達した時点で、インフルエンサー側には、新聞などの従来のメディアで編集を行なう者と同様の責任が発生することになる」と説明した。

「だから、例えば(中略)デンマークの報道機関の倫理基準で定められているように、社会的関心事ではない場合は、自殺や自殺未遂に関する記述はしない、ということ。我々は、これと同じ基準が、ソーシャルメディアに適用されることを望んでいる」

この規則への違反が確認された場合には、投稿は削除される。一定数以上のフォロワーを持つインフルエンサーは、複数の管理者を置くことも求められる。

ローゼンクランツ・テール氏は、「ラウルセンさんの件でいうと、家族は投稿を削除したかったものの、本人である娘のラウルセンさん以外は誰も彼女のアカウントにアクセスできない仕様になっているため、直ちに取り下げることは不可能だった。我々は、ユーザーに責任を持ってもらい、不適切な投稿を取り下げる権限を持つ取り締まり役を担う人を自分の周りに確保してもらいたいと考えている」と述べた。

「我々は、マスメディアが日々変化する社会にいる。マスメディアの伝達に関する基準は変化し、新しいマスメディアに適用していかなければならない。メディア媒体は異なるが、倫理は同じだ」

「完全に新しい仕組みを」

デンマークの人気ブロガーで、インスタグラムで12万8000人以上のフォロワー数を誇るサラ=ルイーズ・クリスチャンセンさんは、BBCに対し、インフルエンサーは「新しい方法で」チェックされるべきだと述べた。

「インフルエンサーやブロガー界全体は、まだまだ新しい。実質的な仕事やビジネスとしては受け入れられていない。だから、この分野への関心が乏しいのだと思う。ブロガー側も、そしてすべてのフォロワー側も、責任が欠けている。私はこういった活動を10年やってきている。自己表現を制限されたくはないが、インフルエンサー自身を守るための制限は欲しい。一部のインフルエンサーはとてもとても幼く、見る側にとって非常に悪影響のある内容を投稿することがあるので」

クリスチャンセンさんは、ブログ書くことと新聞を比較することはできないため、「完全に新しい仕組み」をつくり、ブロガーとフォロワー、両者を保護する方法を分析しなければならないと指摘。既存のメディア規制はインフルエンサーには「効果はない」とした上で、オンライン上での振る舞いに影響を与えるものが必要だと述べた。

「この制限は、振る舞い方を呼びかけるものだ。たぶん、オンライン上での行ないが認識されるべきだということに気がつくための、最初の1歩になるだろう」

(英語記事 Suicide note sparks plan to regulate influencers