こうした「少年たち」のプロデューサーとして、ジャニー氏の評価は高い。しかし、その成功の鍵はまさにジャニー氏自身が「少年たち」の一員であり、しかも、すべてのグループに共通の「少年」として存在していたからではないだろうか。つまり、タレント=「現われ」としての「少年たち」は「存在者」であり、その「存在者」を根拠づける「存在」としての「少年」が他ならないジャニー氏だったのだ。

 こうした究極の存在は「一者」であり、永遠の一者は「神」である。しかし、人として生を得た限り、必ず「老い」さらに「死」は到来する。半世紀以上にわたり、「少年たち」と共にあったジャニー氏も次の「少年」にバトンタッチする必要を感じたのではないだろうか。そして、その適任者こそ、ジュニア時代からひときわ「ジュニアの中のジュニア」として抜きんでた才能を発揮していたタッキーこと、滝沢秀明氏である。

 彼に「特定」の少年「たち」とのグループ化は似合わない。彼は「すべて」の「少年たち」と共に在る「少年」、まさにジャニー氏と同じポジションがふさわしい。伝わるところによると、ジャニー氏はジュニア時代から、滝沢氏に自身の仕事ぶりを見せていたという。これもまた、氏の先見の明に他ならない。

 時代の流れの中で、昨年、ジャニーズはユーチューブに「ジャニーズJr.チャンネル」を開設した。現在、サイトではジュニアによる五つのユニットの映像が公開されている。その中の一つ、「SixTONES(ストーンズ)」が昨年11月、滝沢氏プロデュースによるミュージックビデオを公開した。その曲が「JAPONICA STYLE」であったことも、ジャニーズが世界基準の「日本的なもの」を発信している証しではなかろうか。

 ジャニー氏は来年に迫ったオリンピック、さらには2025年の万国博覧会にもさまざまなイベントのアイデアを持っていたに違いない。あえて公開したご自身の写真の背後に滝沢氏を隠すことで「裏方」としての在り方をもっと学んでほしいと思っていたに違いない。
東京都港区のジャニーズ事務所
東京都港区のジャニーズ事務所
 それにしても、運命とはかくも残酷なものか。死が突然訪れることとなってしまった。しかし、ジャニー氏はこうしてまさに「永遠の少年」となったのである。そして、日々成長していく「少年たち」と共に在り、また私たちとも共に在る。

 心よりご冥福をお祈りいたします。