2019年07月12日 10:52 公開

国連人権理事会は11日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の就任以来、「麻薬撲滅戦争」で多数の麻薬犯罪容疑者が超法規的に殺害されているとされる問題をめぐり、調査を求める決議を採択した。フィリピン政府は「茶番」だとして、猛烈に反発している。

決議は人権理事会(47理事国)で、賛成18票、反対14票、棄権15票の僅差で採択された。

「麻薬撲滅戦争」

ドゥテルテ大統領は就任した2016年、横行する麻薬問題に対処するため、反麻薬キャンペーンを立ち上げた。

警察によると、これまでに殺害されたのは、麻薬密売人や麻薬を使用した人物、少なくとも6600人。一方、活動家は2万7000人以上が死亡したと主張している。

3歳児まで犠牲に

6月末には、「麻薬撲滅戦争」による最も幼い犠牲者が出た。

マイカ・ウルピナちゃん(3)は、父親に麻薬密売の疑いがあるとして、警察が家宅捜索した際、銃弾を受け死亡した。警察は、父親がマイカちゃんを盾にしたとしているが、家族はこれを否定している。

殺害、逮捕、強制失踪…

今回の決議は、フィリピンでの人権状況に関する包括的報告書の提出を義務付けるもの。

超法規的な殺害や恣意的な逮捕、強制失踪について重点的に調査するよう求めている。

決議案を提出したアイスランドの国連大使は、「我々は、実に控えめな要求でバランスをとった決議を提唱した。高等弁務官に対し、理事会での議論に向けて、来年6月までに報告書を提出するよう求めたに過ぎない」と述べた。

採決は「茶番」

一方、フィリピンの国連大使は、採決後、同国のテオドロ・ロクシン外相の声明を読み上げ、反発した。

「我々は、政治的に偏った、一方的な決議は受け入れない。これは人権の勝利ではなく、茶番を象徴している。この報いを受けることになるだろう」

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ドゥテルテ大統領自身と、大統領が推し進める麻薬撲滅キャンペーンは、フィリピン国内で広く支持されている。今年初めに行なわれた世論調査では、大統領の支持率は79%だった。

「遺族に希望を与える」

調査委員会の設置には至らなかったが、人権理事会が詳しい報告書を作成すると誓ったことを、人権団体は歓迎している。

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は声明で、「これは、フィリピンの何千もの遺族に希望を与えるものだ。公正と説明責任への重要な一歩だ」と評価した。

また、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウィッチ」のレイラ・マター氏も、「控えめだが極めて重要な」一歩だと述べた。

(英語記事 UN to investigate Philippines 'war on drugs'