では「損した俳優」といえば誰でしょう。

『東京独身男子』高橋一生&滝藤賢一
 春ドラマで期待値の高さを1番裏切ってくれたのが、テレビ朝日系列の『東京独身男子』。AK=あえて結婚しない男子、とのことで、これを流行語にしたかった広告代理店と制作サイドの大人の事情とあざとさが見え隠れ。そしてなにより高橋一生、滝藤賢一のキャラクター設定が大失敗でした。クセが強く、周囲から逸脱したキャラクターを演じて輝くこの2人を、バブル時代を思わせるマンションに住まわせ、なにかというと集まって「アジェンダ」を語る男性版『SEX AND THE CITY』にしたことですべてが水の泡。主軸3人のうち、遊び人だが根は純粋というキャラクターをまっとうした斉藤工のみがなんとか逃げ切った印象です。

『ストロベリーナイト・サーガ』二階堂ふみ
 この件に関しては二階堂ふみに一切の罪はないと断言したい。9年前の同じくフジテレビ、竹内結子主演版の印象がいまだ強い上に、今回のサーガでは、前半にオリジナル版のエピソードを撮りなおして放送したことで視聴者の「コレジャナイ」感が爆発。二階堂ふみの地に足のついた演技も良かったし、姫川班の面々をはじめ、周囲のキャラクターもきれいすぎるガンテツ役の江口洋介を除き破綻はなく、非常にもったいなかったです。原作にとらわれず、ドラマオリジナルのエピソードを足せば良かったのかも。

『あなたの番です』原田知世
 通常1クール=3カ月でドラマが終了する中、半年間の放送を決めた日本テレビ『あなたの番です』。メッセージも哲学も最初から捨て、マンション内の交換殺人という、謎解きとインパクトだけ楽しんでくださいという、分かりやすい企画と構成が潔いっちゃあ潔い。『おっさんずラブ』でかわいいキャラを会得した田中圭が、そのまま大型犬さながらの芝居を見せる中、昭和の角川映画『時をかける少女』『早春物語』とまったく同じテンションで登場する12歳年上の妻役・原田知世。が、彼女を知らない世代にとっては「あの変なワカメちゃんみたいな髪型の人誰?」と結構な言われようです。今年もブレンディのCMは流れるのでしょうか。今や夏の風物詩ですね。
女優の原田知世=2014年9月、東京都(南澤 悦子撮影)
女優の原田知世=2014年9月、東京都(南澤 悦子撮影)
 こうして「得した俳優」「損した俳優」を並べてみると、そのキーワードが「イメージの転換」であるのが分かります。これまで自分が得意としてきた役柄からうまくシフトチェンジができた「得したチーム」と、「イメージの転換」に失敗し大けがを負うか、過去の自分のイメージを守り過ぎてイタくなってしまったかの「損したチーム」。こうなると、もらい事故感が強い二階堂ふみが非常に気の毒ではありますが。

 現在動き出している夏ドラマでは、杏、石原さとみ、深田恭子、上野樹里、黒木華と女優メインの作品が目白押し。こちらのアレコレも秋に向けてチェックしていきたいと思います。