2019年07月15日 15:07 公開

ケイティー・ホープ、BBCビジネス記者

「卵、魚の缶詰、バリバリ音のするスナックはNG」。職場の机で食べて良いもの悪いものの社内ルールについて、SNS「リンクトイン」で質問したところ、こういう答えが返ってきた。

なぜ尋ねてみようと思ったかというと、うちの職場にチキン・コルマの香りがふわっと漂っていたからだ。BBCの社食で人気の日替わりメニューで、多くの人が自分のデスクで食べる。スパイスの濃厚な香りが、職場内をゆったりと流れていく。

サンドイッチ、スープ、ポテトチップス、クッキー……。ほとんどの人は職場の机でこうしたものを色々と食べてきた。デスクを離れて休憩をとる暇がないほど忙しいからか、それともデスクを離れられないほど自分は重要人物なんだと周りに思わせたいからか。

そしてキーボードにパンくずを落とし、むしゃむしゃとかむ音を響かせ、時には強烈な匂いを周囲に飛ばす。どんなに気楽な同僚でも実はイラついているかもしれない。

仕事の机で何を食べて良いか悪いか、正式な規則がある職場は珍しい。企業は厳しく取り締まるべきなのか。そしてそもそも私たちは、仕事の机で食事をすべきなのか。

英就職支援サービス会社グラスドアが2000人を対象にした調査で、昼の休憩時間をどう使うか質問したところ、「1人でいたい」が36%、「インターネットを見る」が28%、「同僚と昼食をとる」が26%、「デスクで食事をする」が23%、「ソーシャルメディア」が20%、「用事」が17%、「買い物」が16%、「運動」が10%、「オンライン・ゲーム」が7%だった(複数回答可)。

つまり、働く人間の4人に1人が、仕事の机で昼食をとると答えたのだ。

そして、その際に何を食べるかが、周りにとっては問題になり得る。

「卵サンドはオフィス中が臭くなる。西半球で最悪の反社会的食べ物のひとつかもしれない」と、ビール会社で働くドン・バージェスさんは言う。

金融サービス会社で働くエイジェイさんは、「臭い食べ物厳禁」が「金科玉条」であるべきだと主張する。理想を言えば、オフィス内で温かい食べ物をとるのは禁止にすべきだと。

テクノロジー系の企業に勤めるダニエルさんのオフィスではしばしば、「中華料理や魚の臭いがプンプン」しているという。ダニエルさんは、一切の食べ物は会社が提供する別室で食べるべきだという考えだ。

「そうすれば、パソコンから離れて休憩を取らざるを得なくなる。それ以外にも、自分が仕事に集中しようとしているのに隣の人がやかましく食べ物を咀嚼(そしゃく)する音を聞かなきゃならないなんてことが、避けられる」

デスクでフルーツを食べるのも勘弁して欲しいという人もいる。「どうしても机で食べなきゃならないなら、シャクシャク音のするリンゴはやめて」と、エンジニアのルーシーさんは言う。

音がすると言えば冒頭に出たスナック菓子。イギリスの場合は、人気のツイグレットが名指しされた。営業職のカーラさんは、「すべての職場で禁止すべき。特に、ミニパックを立て続けに2つ、3つと食べたりするのは。バリバリボリボリ、うるさすぎる」と強調する。

「厳しすぎる」

いっそのこと、各社がデスクでの食事を全面禁止にすれば、全員すっきりするはずでは?

そんなことはまったくないと、英人材開発協会(CIPD)のデイヴィッド・ドスーザさんは言う。「それではあまりに厳しすぎる、あるいは過保護だ」。

それよりもむしろ企業側は、できる限りデスクを離れて食事するようスタッフに促すべきだと言う。

「大事な動機は、近くの同僚の不快感ではなく、スタッフの心身の健康だ。頭の中をいったんリセットする機会は、人にとって、そしてだからこそ組織の生産性にとって、非常に大事だ。すっきりした頭で考えているかどうか、くたびれた状態で判断していないかどうか」

管理職は自らお手本となり、定期的に休憩し、スタッフに同じようにするよう促すべきだとドスーザさんは言う。さらに、昼休みの間にずっと働いている同僚に声をかけて、休憩をとるよう促すリラックスしたやり方も、お勧めだという。

ほとんどの人は本能的に、たとえわずか10分でも休憩するとすっきりすると分かっている。

その方が仕事の効率も上がるという研究もある。

医療記者クリストファー・ワニエク氏は、職場の食習慣に関する本で、昼食を抜かす労働者は究極的には、昼食をとる人と比べてストレスが高く生産性が低く、燃え尽き症候群になりやすいことが分かったと書いている。

しかし、仕事が忙しい時にその場を離れたりすると、責められているような気持ちになりがちだ。

ソフトウェア試験会社アブストラクタのサム・アボットさんはいつも、デスクで食事をしていたが、午後に入るとしょっちゅう頭痛に悩まされていた。最近になって南米ウルグアイに転勤し、今では職場の全員がそうしているので、同僚たちと昼食をとっている。

「一緒に座って食事をしながらおしゃべりをするのは、この国では大切な習慣だ。そうする方がお互いに親しくなれるし、1日中スクリーンを眺めている状態が中断できる。ここでは大体いつも天気がいいので、みんなで外でご飯を食べる。すごく楽しい」

飲料メーカーのイノセント・ドリンクスは、イギリス内で同じような昼食のとり方をスタッフに勧めようとしている。

本社の正式な昼食時間は午後1時~2時で、スタッフは「リラックス・ゾーン」と呼ばれる大きい食堂スペースで食事をとる。食堂にはベンチ席が並び、飲み物やパン、ペーストやシリアルが無料で影響される。招待されたゲストが仕事とは関係のない話題について、話をすることも多い。

いささか学校めいてはいるが、同社のイベント担当、ティム・ドーセットさんによると、これは強制ではなく、会社が「おすすめ」していることだという。

大事なのは会社がこうしてスタッフに対して、メッセージを発していることだとドーセットさんは言う。休憩もとらずに働き続けるなど、会社は期待していないと。

「みんな仕事をしに来ているのだと、承知している。血と涙と汗など期待していない。職場に四六時中いる必要はないのだと、期待値を設定している」

けれども、同僚と今以上に一緒にいるなど最悪だという人も大勢いる。企業広報で働く女性は、昼休みに1人でいるのは人付き合いが悪い、よそよそしいと批判されていると話してくれた。

「毎日のことなのでイラッとする。平日に少しでも自分の時間がとれれば、それは貴重なので。みんな人それぞれ。毎日決まって同僚と昼食を一緒に食べるなんて、変だと私は思う」

ツナとパスタのオーブン焼きを食べながら(もちろん、温め直してはいないけれども)この記事を書いた当人として、私はこの女性に共感する。私は大抵、1時間の昼休みをとるけれども、その間に昼食をとるなど、自分の貴重な自由時間の無駄遣いだと思うので。

(英語記事 Desktop dining rules: No boiled eggs or tinned fish