2019年07月16日 12:25 公開

イギリスのテリーザ・メイ首相は15日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が有色人の女性議員らに「もとの場所に帰れ」などと発言したことについて、「まったく容認できない」と批判した。一方、女性議員側は同日、記者会見を開き、トランプ氏を強く非難した。

メイ氏の発言は、英首相官邸報道官がこの日、明らかにした。

批判の中で攻撃ツイート

一方、トランプ氏は、前日のツイッター発言に対し「人種差別」との批判が相次ぐ中、15日朝にも攻撃的な内容を新たに立て続けにツイートした。

その中でトランプ氏は、4人の民主党女性下院議員――アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員、ラシーダ・タリーブ議員、アヤナ・プレスリー議員、イルハン・オマール議員――に対し、謝罪を要求した。

「極左の女性議員たちはいつになったら、我が国やイスラエル国民、さらには米国大統領行政府に対し、卑劣な言葉を使ったことを、そしてひどい発言をしたことを謝罪するのだろうか。非常に大勢の人が、彼らに対して、そして彼らの無礼で不快な行動に憤慨している!」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1150720283654938625

「民主党が、こういった非常に評判のよくない、アメリカを代表していない女性下院議員らの口から発せられた汚い言葉や人種的憎悪、そして彼らの行動のもとに団結したいなら、どういう展開になるのか見届けるのは興味深いだろう。この女性下院議員たちのせいでイスラエルの人々は、アメリカから見捨てられたと思ってしまった」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1150732346099978240

このツイートは、イスラム教徒のオマール議員が今年2月に投稿した、イスラエルと親イスラエル派ロビイストに関してのツイート内容が、反ユダヤ主義的だとして批判されたことを受けてのもの。

一方、同じくイスラム教徒のタリーブ議員は今年5月、ヤフーニュースのポッドキャストでのイスラエル・パレスチナ紛争に関する発言をめぐり、反ユダヤ主義的だとの非難が上がり、弁解する事態となった。

非白人の女性下院議員の主張

15日に記者会見を開いたオカシオ・コルテス議員、オマール議員、プレスリー議員、タリーブ議員は、焦点は大統領の発言ではなく政策に置くべきだとした上で、米国民に対し、「大統領のわなに引っかからないよう」求めた。

プレスリー議員は、「これは、無神経な混沌と現政権の腐敗した文化がもたらした分裂であり、気を散らせるものに過ぎない」と述べた。

オマール議員とタリーブ議員は大統領弾劾を呼びかけた。弾劾については、民主党幹部は否定的な考えを示している。

「歴史的視点が私たちを注視している」とオマール議員は述べ、「大規模な国外追放攻撃」と「国境での人権侵害」を非難した。

4議員は5日、下院委員会で、以前視察した移民収容施設の状態について、収容人数を超過していて不衛生だと証言した。一方、トランプ大統領は、施設の環境については「素晴らしい評価」を受けていると反論している。

トランプ氏は15日、ホワイトハウス前で記者団に対し、「満足できないなら、常に文句ばっかり言っているなら、出て行けばいい」と述べた。

このトランプ氏の発言を受けてオカシオ・コルテス議員は、「我々は、自分たちが愛するものを置き去りにはしない」と反論した。

「大統領が就任して今日に至るまで、彼が発言することはすべて、この国にとって間違っていることばかりだ。一体どうやってアメリカを素晴らしいものにするというんだ」

アメリカ生まれ、12歳で亡命も

トランプ氏が攻撃した4人のうち、オカシオ・コルテス議員、タリーブ議員、プレスリー議員はいずれもアメリカで生まれ育った。ソマリア生まれのオマール議員は、12歳で家族と共にアメリカに難民として亡命した。

オカシオ・コルテス議員はニューヨーク・ブロンクス生まれ。出身地は、トランプ大統領が生まれたニューヨーク・クイーンズの病院から20キロと離れていない。

トランプ氏の主張をめぐり、2020年米大統領選の民主党候補指名を目指している候補者は、人種差別主義で敵対を生むものだとして非難している。一方、与党・共和党の大半は静観している。

トランプ氏の主張

トランプ氏は14日、3連続のツイートで、「『進歩的』な民主党の女性下院議員たちが、政府がまったく完全にひどいことになっている国からもともと来たのに、世界で最悪でひどく腐敗してほかのどこより無能な政府(政府が機能していればの話だが)の国から来たのに、それが今や、世界で最も偉大で最強のこの合衆国の人々に、この国の政府をああしろこうしろと大声で罵倒しているなんて、実に興味深い。もといた国へ帰って、完全に壊れて犯罪まみれの地元を直す手助けをしたらどうだ。それをやってからここへ戻ってきて、やり方を教えたら」と書いた。

さらにトランプ氏は、「そういう場所は皆さんの助けがぜひとも必要だ。できるだけさっさと行ってもらいたい。ナンシー・ペロシは喜んで、無料渡航の算段をすぐにしてくれるはずだ!」と書いた。

トランプ氏はツイートの中で、どの民主党女性議員を攻撃しているのか名指しはしなかったが、ペロシ下院議長への言及から、オカシオ・コルテス議員、タリーブ議員、プレスリー議員、オマール議員のことだと広く受け止められている。

米南側の国境警備をめぐり、民主党内では確執が生じている。

民主党は先月25日に、国境への緊急支援として45億ドル(約4800億円)の追加予算を出す法案を提出。ペロシ下院議長がこの法案を支持する一方で、コルテス議員が、「移民税関捜査局(ICE)に人をだますような戦術を続けさせるためのお金は10セントだって出したくない」と発言するなど、今回トランプ氏から判批された議員4人は反対票を投じた。

コルテス議員は10日付の米紙ワシントン・ポストで、非白人女性を批判の標的にしているとして、ペロシ下院議長を非難した。

白人至上主義と批判

ペロシ下院議長はツイッターで、トランプ氏のツイートについて「外国嫌悪」で人種差別的だと批判した。

議長は、「アメリカの女性下院議員4人に母国へ帰れと言う(トランプ氏は)、自分の『アメリカを再び偉大にしよう』計画は最初からずっと、アメリカを白人の国にする計画だったと、あらためて強調した」と批判。「私たちの多様性こそこの国の強さ、私たちの団結こそこの国の力だ」と、議長は強調した。

さらに議長は、「この国を分断しようとするドナルド・トランプの外国嫌悪的発言を、私は拒絶する。彼は連邦議会議員を攻撃するのではなく、アメリカの理念を反映する人道的な移民政策のために我々と協力すべきだ」と書いた。

https://twitter.com/SpeakerPelosi/status/1150408693021908992


ミシガン州選出のタリーブ議員はツイッターで、トランプ氏の大統領弾劾を呼びかけた。

「大統領として完全に大失敗な無法者に、私がどう反応するか? あの人こそ危機そのもの。あの人の危険な思想こそ危機そのもの。弾劾しなくてはならない」と議員は書いた。

ニューヨーク州選出のオカシオ・コルテス議員はトランプ氏に向かって、「私たちを選出したアメリカを受け入れないだけでなく、あなたは私たちがあなたを恐れていないことも、受け入れられない」とツイートした。

https://twitter.com/AOC/status/1150445185438035968


オマール議員は「大統領閣下」と呼びかけるツイートで、「連邦議会議員として私たちが忠誠を誓う国はたったひとつ、アメリカ合衆国です。だからこそ私たちはこの国を、見たことがないほど最悪に腐敗して無法な大統領から守るために戦っているのです」と書いた。

議員はさらに、「私たちのような者が連邦議会で奉職し、あなたの憎悪に満ちた政策目標に抵抗しているから、あなたは怒っていて、だから白人国家主義をたきつけているんですね」と続けた。

プレスリー議員は、トランプ氏のツイートのスクリーンショットに添えて、「これが人種差別の姿。私たちが民主主義の姿」とツイートした。

2020年米大統領選の民主党候補指名を目指している候補者たちも、次々にトランプ氏を非難した。

エリザベス・ウォーレン上院議員は、「おぞましい発言」は「人種差別的で外国人嫌悪的な攻撃だった」とツイート。「トランプが気づいていようといまいと、こここそが(攻撃された女性議員たちの)国だ」と書いた。

ベト・オローク前下院議員は「これは人種差別だ。この女性議員たちはあなたとまったく変わらず、アメリカ人だし、我々の価値観をあなたなどよりはるかにまともに代表している」とツイートした。

バーニー・サンダース上院議員は、トランプ氏のツイートを引用し、「大統領を人種差別主義者と呼ぶとき、私はこういうことを言っているんだ」と書いた。

https://twitter.com/BernieSanders/status/1150414765119946753

(英語記事 Theresa May condemns Trump's 'go back' remark/Don't take Trump's bait - US congresswomen