2019年07月17日 10:42 公開

欧州議会は16日夜、今年11月1日に退任するジャン=クロード・ユンケル欧州委員長の後任に、ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相(60)を充てる人事案を、賛成383票、反対327票の僅差で承認した。初の女性欧州委員長が誕生する。

この日の欧州連合(EU)加盟28カ国の議員による投票は、賛否が明らかにされないかたちで行われた。議会(定数751)の承認には、この日欠席した4議員を除いた過半数、374の賛成を得る必要があった。

中道右派のフォン・デア・ライエン氏は、承認後の演説で、「あなたがたが私に置いてくれた信頼とは、あなたがたのヨーロッパへの自信だ。東から西、南から北まで団結した強固なヨーロッパへの自信だ。これは重大な責任であり、いま私の任務が始まる。建設的に一丸となって取り組もう」と述べた。

立場が磐石でない可能性も

初の女性欧州委員長の誕生に、各国首脳からは祝福の声が上がっている。

一方で、BBCのダミアン・グラマティカス欧州担当記者は、過半数の374をわずか9票上回ったにすぎないことを鑑みると、フォン・デア・ライエン氏は今後弱い立場に置かれかねないと指摘する。

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欧州委員会はEUの政策執行機関で、EU法の施行や法案のとりまとめなどを担うほか、必要に応じて加盟国に罰金を科す権限を有する。リーダーである欧州委員長の任期は5年。

フォン・デア・ライエン氏とは

ベルギー・ブリュッセル生まれのフォン・デア・ライエン氏は、7人の子どもを持つ母親で、政界入りする前は婦人科医だった。

フォン・デア・ライエン氏は、長らく続いているドイツ軍の装備不足や、超然とも評される管理スタイルをめぐり、ドイツ国内で批判にさらされてきた。

同氏はこれまで、EUが社会福祉において更に大きな役割を果たすことや、貧困への取り組みを推し進めると誓ったほか、女性の権利のために立ち向かう考えを強調してきた。

また、ブレグジット(イギリスのEU離脱)をめぐっては、「正当な理由のためにより多くの時間が必要だとすれば」、離脱交渉期間の延長を認めると約束している。

重要な誓約

承認に先立ち、フォン・デア・ライエン氏はいくつかの重要な誓約を誓約を立てた。

  • 欧州議会に「イニシアチブの権利」を付与するよう推進するーーつまり、欧州委員会が欧州議会議員の決議を法制化しなければならなくなる。現在は委員会のみが法案を作成できる
  • EU内の非正規移民について、2024年までに欧州対外国境管理協力機関(Frontex)の人員を1万人に増強する。一方で、「人道的回廊を通じて亡命する権利を維持する必要がある」としている
  • 失業者のための国民保険制度を強化するためのEU「再保険制度」を提案

初の女性欧州委員長への反応

ユンケル欧州委員長は、「この仕事には大きな責任があり、挑戦だ。あなたが素晴らしい委員長になることを確信している」とツイートした。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、フォン・デア・ライエン氏を「献身的で説得力のある欧州人」と称賛。声明の中で、「長年にわたり大臣を務めたあなたを今日失ったとしても、私はブリュッセルで新しいパートナーを獲得する。だから良い連携を楽しみにしている」と述べた。

スウェーデンのステファン・ロベーン首相はツイッターで、「そろそろこの重要な職務に女性を迎え入れる時だ」と投稿した。

スペインのペドロ・サンチェス首相は、「ヨーロッパは前に進まなければならない」と述べた。

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は、シンプルに、「おめでとう、ウルズラ。おめでとう、ヨーロッパ」とツイートした。

https://twitter.com/eucopresident/status/1151188512886132736?s=20

ベルギー首相で、次期欧州理事会常任議長のシャルル・ミシェル氏は、「おめでとうと言いたい。すべての欧州人の利益のために共に取り組もう」と述べた。

(英語記事 MEPs elect first female EU Commission president