2019年07月17日 14:09 公開

韓国で16日、職場でのいじめ行為を禁止する改正労働基準法が施行された。これにより、対応が不十分な雇用主は、最長3年の禁錮刑や、最大3000万ウォン(約275万円)の罰金などが科せられる可能性がある。

韓国で雇用主に対し、ハラスメント行為への対応を義務づけるのは今回が初めて。

この改正労働基準法により、労働者は、うわさ話を広められたり、会社の会合への出席を強要されたりするなどのハラスメント行為を受けた場合、通報できるようになる。

さらに、健康面に支障をきたした場合には、賠償請求も可能となる。

一方で雇用主は、被害者本人や、職場いじめを報告した労働者に対し、解雇を含むいかなる措置を講じることも禁止される。

労働者の7割がいじめを経験

職場でのハラスメント行為は、韓国国内にまん延している。

同国の国家人権委員会によると、国内の労働者の約7割が上司や同僚からのいじめを受けたことがあると報告している。

労働者の1割以上が日常的に被害を受けている一方で、被害者の約6割は、被害を訴えるなどの行動を起こせずにいるという。

いじめガイドライン

企業側の理解を深めるため、韓国政府はハラスメントと見なされる行為に関するガイドラインを公開した。

例えば、酒やタバコ、会食への参加の強要はもちろんのこと、同僚に関するうわさ話や、個人的な情報の拡散が、ハラスメントに当たる。他の人たちの前で暴言を浴びせたり、恥ずかしい思いをさせたりすることも含まれる。

「カプチル」撲滅

これまで、嫌がらせ行為などを通報することは、韓国国民にとってハードルが高かった。労働者を守る法的枠組みが欠如していたことから、多くの人は声を上げることをためらっていたとみられる。

この改正労働基準法は、職場における「カプチル」(韓国語で、権力者による嫌がらせ行為などを意味する)を一掃することを目的としている。

2014年、大韓航空の当時の副社長だった趙顕娥(チョ・ヒョンア)氏が、旅客機内でのナッツの出し方をめぐり、客室乗務員を機体から降ろすよう要求した、いわゆる「ナッツ・リターン」事件などが、「カプチル」の例として挙げられる。

大韓航空を傘下に持つ韓国の財閥、韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長を父に持つ趙氏は、米ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港から搭乗した旅客機内で、客室乗務員がマカデミアナッツを提供する際に皿にあけてではなく、袋のまま提供したため、機体を滑走路から出発ゲートに引き返させ世間の注目を集めた。

この事件は韓国で激しい注目を集め、チェルボといわれる財閥に支配されたビジネスシステムをめぐる国民的議論が再燃した。

(英語記事 S Korea employers face jail under anti-bullying law