2019年07月18日 13:13 公開

世界保健機関(WHO)は17日、コンゴ民主共和国で流行が続くエボラ出血熱について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。PHEICが宣言されるのは史上5度目。コンゴでは、これまでに1600人以上が死亡している。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長はこの日、スイス・ジュネーヴでの記者会見で、「世界が留意すべき時だ」と述べた。

コンゴでは今週に入り、人口100万人以上の東部ゴマでも症例が確認された。今回の流行で、ゴマで感染者が確認されたのは初めて。ゴマは、コンゴとルワンダ国境の街で、主要な交通の拠点となっている。

WHOは、隣国への感染拡大のリスクは「非常に高い」と警告している。

ウガンダでは、5歳の男児と50歳の祖母の死亡が確認されている。

史上5度目の緊急事態宣言

PHEICとは、最も深刻なレベルの流行を対象とした警告。2014年から2016年に西アフリカで1万1000人以上が死亡した、エボラ出血熱流行など、これまでに4度しか出されていない。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は声明で、「エボラの被害者や、エボラ感染への対応にあたる人たちの、現地の実情をこの宣言で変えることはできないが、この宣言によって世界の注目が集ることを望んでいる」と述べ、WHOによる緊急事態宣言を評価した。

コンゴでのエボラ流行はどれほど深刻なのか

北キヴ州とイトゥリ州では、昨年8月以降、エボラの感染が拡大している。史上2番目に深刻な状況とされる。

これまでに2500人以上が感染し、そのうち3分の2にあたる1600人以上が死亡した。224日間で、症例数は1000件に達し、それからわずか71日後には、2倍の2000件にまで上った。

毎日、約12件の新しい症例が報告されている。


ワクチンは一部の人のみ

エボラワクチンは西アフリカでのエボラ流行中に開発された。その効果は99%とされ、すでに16万1000人以上が接種している。

しかし、誰もが予防接種を受けているわけではない。接種を受けるのは、エボラ感染者と接触する医療従事者などに限定される。

なぜ流行を食い止められていないのか

コンゴでのエボラ感染拡大への対策をめぐっては、状況は難航している。理由は、治安の悪化だ。

今年1月以降、医療従事者やエボラの治療施設などへの襲撃が198件発生しており、7人が死亡、58人が負傷している。

別の大きな問題は、地元の人々が医療従事者へ不信感を抱いているということだ。これまでの死者の3分の1は、治療施設以外の場所で命を落としている。

つまり、治療を求めず、近隣住民や親族に感染するリスクを冒していることになる。

さらに、エボラウイルスの感染経路をたどるのも難しいのが現状だ。

相当数の症例で、感染者との接触が確認できていない。

国際医療NGO「国境なき医師団(MSF)」のトリシュ・ニューポート氏は、「エボラの発生から1年たったが、状況は少しも改善されていない」と述べた。

「暴力や紛争が長く続いてきた複雑な場所だ。それだけに、地域以外から来る外国人への不信感は根強い。我々が信頼してもらうためには、地域社会との関係や結びつきを築かなければならない」

資金不足

WHOは数カ月前から、エボラ対策に必要な資金が不足していると公表している。

今年2月から7月までの間に必要な資金についてWHOは、9800万ドル相当(約106億円)と見積もっていたが、結果的に5400万ドルが不足している。

(英語記事 Ebola outbreak declared global health emergency