2019年07月19日 12:40 公開

70人近い死傷者を出した「京都アニメーション」放火事件は、世界中の「京アニ」ファンに衝撃を与えるとともに、作品の質の高さを改めて評価する声を生んでいる。

「がんばれ京アニ。アニメコミュニティー全員が後ろについている。君が倒れたら私たちがいつでも支えてあげる」

ソーシャルメディアなどで飛び交うこうしたメッセージが、京都アニメーションがファンにとっていかに特別な存在だったかを示している。

1981年創業の京都アニメーションは、「けいおん!」、「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」などの人気アニメ作品を制作。

2016年にはアニメ長編映画「聾(こえ)の形」を制作し、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞。英紙ガーディアンは「魅力的な映画。繊細で快く、かつデリケート」と評し、4つ星の高評価を与えた。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は動画配信サービスのネットフリックスによって、世界的に配信された。

「すぐに見分けがつく」

「京都アニメーションで突出していることの1つは、動画そのもののクオリティの高さだ」。「アニメUKニュース」のアニメ評論家イアン・ウルフ氏はこう言う。「見る人にとてもやさしい」。

ビジュアル・スタイルが独特で、仕上げのレベルも高いことから、京都アニメーションの作品はすぐに見分けがつくと言う。

「京都アニメーションは暴力や性的な作品は扱わず、物議をかもすことはまずない。攻撃対象にしようと思う人がいる理由がわからない」

https://twitter.com/TheImpactPanda/status/1151728537625341953


同社は業界標準を破り、アニメーターの給与を出来高ではなく月給制で支払うことでも知られていた。日本のアニメーション業界では、報酬は枚数単価による場合が多く、アニメーターにきわめて大きな負担をかけていると言われている。

ソーシャルメディアには京都アニメーションのことを、「アニメ業界はこうあるべきだと示す手本」とたたえる書き込みも見られる。

支援金が続々と集まる

映画評論家の前田有一氏は京都アニメーションについて、「日本で最大級のアニメ制作会社の1つ。日本のアニメ界で最高の技術をもつ人たちの多くが、亡くなったのではないか」とロイター通信に述べた。

前田氏は、同社がアニメ業界に与えてきた影響は、作品の数からは想像できないほど大きかったと話す。

「この国のアニメで非常に大きな存在だ。一度にこれだけ多くの人が亡くなったのは、日本のアニメ業界にとって非常に大きな打撃だ」

「京アニ」は特に日本で知名度が高いが、事件のニュースが報じられると、世界中のアニメコミュニティーから数多くの支援が寄せられた。

アメリカでアニメ配給を手がける会社センタイ・フィルムワークスは、支援金を募るクラウドファンディングを開始。ファンからの寄付の多くが50ドル(約5400円)以下の少額だが、2時間で10万ドル(約1080万円)が集まり、18日午後7時(日本時間)までに20万ドル以上に達した。

寄付をしたダリアン・ハリソン氏は、「この会社が制作した多くのアニメがあって今の私がある。そのほとんどは真の傑作だ」とコメントした。

別の寄付者、LC・メンドーザ氏は、「京アニの作品は私の子ども時代の一部だった」と懐かしんだ。

マケンジー・ハー氏は京都アニメーションについて、「アニメ業界の模範であり、こんな目に遭うのはおかしい。この悲劇を経て、さらに強くなって復活してほしい」と書き込んだ。

哀悼と支援の声

ソーシャルメディアには、ファンたちの「お悔やみ」と支援の声があふれている。

「京アニのスタッフにお悔やみ申し上げます」とツイートする人もいた。

https://twitter.com/maruse_rino/status/1151742612581339136


「京アニに思いを寄せている! もうずっと大好きなアニメのいくつかを作ってくれた。心が痛い!」と書く人もいた。

https://twitter.com/leosutherland/status/1151758823788568576


「京都アニメーションに何があったのか知って、本当につらい。京アニが作ったほとんどの作品を通して、私はアニメファンになったし、自己ベストな作品をいくつも作ってくれた。ありがとう京アニ、私の人生を前より少し明るくしてくれて」と感謝するファンもいた。

https://twitter.com/TheAfroOtaku/status/1151746637024206848


多くのファンは自分たちの好みの作品を挙げ、長年にわたりいかに影響を受けたかを語っている。

芸術的な損失も嘆く

追悼や心配の声のほとんどは、亡くなったアニメーターや家族に対するものだ。

しかし、アニメファンからは、芸術面での損失を嘆く言葉も出ている。

あるファンは、「何千枚もの画像、大事なアニメフィルが入ったコンピューター。制作途中だったものは、ほぼ壊滅状態だろう」とソーシャルメディアでコメント。一方で、バックアップを取っているに違いないとの指摘も出ている。

自らの無事を知らせる有名アニメーターのツイッターにリンクを張ったり、生存が確認できていないアニメーターたちのリストをつくったりする動きも生まれている。

(英語記事 Fans heartbroken by anime studio fire in Japan