船田元(衆議院議員)

 長かった参院選も終わろうとしている。この度の選挙戦の争点として、安倍総理は憲法改正を進める政党か、そうでない政党かを見極めてほしいと訴えてきたが、実際にはそれほどの盛り上がりはなかった。私はもともと憲法改正を選挙の争点とすることはなじまないと主張してきたが、ここまで関心がないとは予想できなかった。自公はじめ改憲勢力が仮に参議院で3分の2を確保しても、そうすぐには憲法審査会の現場は動かないのではないかと危惧している。

 これまでの憲法改正をめぐる国会の動きを少し振り返りたい。2000年から始まった憲法調査会では、現行憲法の意義と課題について調査を進め、5年後に両院議長に報告書を提出した。次に国民投票を実施する法律を作るため、憲法調査特別委員会を設置し、約2年間議論した。大方は与野党協調のもとで審議も進んだが、法案採決時の混乱のため、改正原案を審議できる憲法審査会のスタートが5年間遅れてしまった。

 ようやく2012年から審査会が始まったが、まずは国民投票法の積み残しだった公務員の運動のあり方、選挙権も18歳以上に引き下げることなどを決めた。さあいよいよ改正の中身の議論を始めようとした途端、当時審議が難航していた平和安全法の憲法解釈をめぐって審査会で混乱を招き、再び会議が暗礁に乗り上げた。

 こうした経験から、憲法改正の議論は政治的に波静かな時にしか進まないこと、少なくとも野党第1党との話し合いがきちんと行われる環境にないと、実質の議論ができないことを学んだ。

 マスコミの多くは衆参両院の改憲勢力が3分の2を超えるか超えないかを、しきりに気にしているが、3分の2を超えなければ改憲ができないのかというと、決してそうではない。
筆者の船田元衆院議員=2018年8月27日、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)
筆者の船田元衆院議員=2018年8月27日、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)
 むしろ3分の2を超えてしまったがために、野党が警戒心を強くして後ろ向きになったとも言える。決して手加減しろという意味ではないが、結果として一院でも3分の2を超えない方が、野党の必要以上の警戒心を招かず、また与野党間で話し合う環境が整うという点で、かえって議論が前に進む可能性もある。