ところが、「文政権は単に日本に関心がないだけで、日本の保守層が思うほど日本を差別的待遇しているわけではない」と不見識な見方をする専門家たちが時折見受けられる。もちろん、そのような「無関心」というか「無視」が、今日の国際法違反の状況を韓国政府自ら招いている。いわば、韓国政府の外交上の失政のツケを、日本側に押し付けているといっていい。

 19日の河野氏と南氏の面談で、韓国側が日本の提案を全く「無視」して手前勝手な発言をしてきた。まるで上記の専門家たちと同じ姿勢だ。

 このような「無視」について、河野氏は「極めて無礼」という厳しい言葉を放った。産経新聞で詳細が報じられているが、河野氏のやりとりは適切であると考える。

 だが、テレビ朝日『報道ステーション』のインターネットサイトでは、「河野大臣激怒に韓国『むしろ違反は日本』」という見出しで記事配信されていた。これが上記の「ちょっとした見出しの工夫での印象操作」といえるのではないか。この見出しでは、河野氏が感情的な対応をしたことに対し、韓国側目線からの異議を道理のあるもののように扱っている印象を与えはしないか。

 さらに記事では、旧朝鮮半島出身者問題を輸出管理問題の報復と関連させる韓国側の言い分を紹介して終わっている。だが、両者は全く別の問題である。実際に、河野氏の「極めて無礼」発言は、韓国側が異なる問題を絡めて主張する不誠実な態度を批判する言葉が含まれていた。

 それが「この旧朝鮮半島出身労働者の問題を他の問題と関連しているかのように位置づけるのはやめていただきたい」という箇所だ。この言葉を紹介しないで、単に韓国側のデタラメな発言を引用して終わるのは、やはり一定方向への誘導といわれても仕方がないのではないか。

 輸出管理問題でも印象操作はある。関連報道を見ても、いまだに「韓国への輸出規制問題」とか「輸出規制強化」いう見出しが目立つ。
かりゆしウエア姿で閣議に臨む菅義偉官房長官、安倍晋三首相、河野太郎外務相ら=2019年6月(春名中撮影)
かりゆしウエア姿で閣議に臨む菅義偉官房長官、安倍晋三首相、河野太郎外務相ら=2019年6月(春名中撮影)
 だが、「規制」とは、従来に比べて貿易取引量を政策的にコントロールすることにある。マスコミの大半は、「規制強化」と報じているので、「これは一種の保護貿易的な規制だ」とでも言いたいのだろう。ただ、この施策は、単に各国と同じ待遇に戻すだけで、禁輸措置でも自国の産業を保護するための政策でもないことは、以前の論考でも述べたように明らかだ。

 自由貿易の国際的な枠組みである世界貿易機関(WTO)においても、安全保障上による例外規定として輸出管理が認められている。輸出管理手続きの簡素化は必要だが、それでも日本の対応は先進国並みであり、特に厳しいものではない。