むしろ、韓国を「優遇」しすぎたことが、かえって異例であり、リスクを生じるものだったにすぎない。各国並みに戻すことは、世界の安全保障上から考えても妥当だろう。

 「通常兵器及び関連汎用(はんよう)品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント」は、安全保障上の国際的な枠組みの一つだ。当然、日本もこの申し合わせを順守している。通常兵器や技術の無制限な国際的拡散を防止したり、テロでの利用を防ぐ目的を有する政策レジームだ。

 同時に、これはあくまで国内法上の問題であり、海外とはこの政策レジームを共有するだけで足りる。しかし、この問題をあたかも韓国と交渉すべき外交問題とみなす日本のマスコミにもあるが、今書いたように国内の手続き上の問題でしかない。韓国が文句をいうのはお門違いである。

 もし、再び「優遇」してもらいたいなら、今後、信頼に足るパートナーとして長期間、例えば1世紀単位にわたる地道な努力をすべきだろう。もう政権が交代するたびに、ころころ変わってしまう「不可逆的」な約束を交わす意義は乏しい。

 マスコミの「ノイズ」がひどいので、以下では日本政府の主な韓国への対応をまとめた。

(1)韓国への輸出管理問題

「優遇」措置を信頼欠如に伴い、並の扱いに戻しただけ。貿易自由化に逆行する「規制」でも、禁輸でも政治的報復でもない。国内の事務的手続きでしかない。国際的な政策レジームから見ても、韓国との交渉事案ではない。

(2)旧徴用工問題などへの対応
正確には、「旧朝鮮半島出身の労働者」と表記すべき話。この問題は、日韓請求権協定を韓国側が一方的に裏切る国際法違反。韓国政府に対する強い異議表明は妥当である。また、韓国側の日本からの提案「無視」が招く事態(日本企業への損失)については、対抗措置の実施秒読み段階にある。

2019年7月、ソウルの韓国大統領府で握手する文在寅大統領(右)と、保守系最大野党「自由韓国党」の黄教安代表(左)(聯合=共同)
2019年7月、ソウルの韓国大統領府で握手する文在寅大統領(右)と、保守系最大野党「自由韓国党」の黄教安代表(左)(聯合=共同)
 二つの問題は全く異なっていて、よほど歪(ゆが)んだ見方をしない限り、日本政府の方針は妥当なものだ。妙なバランスをとる報道の合理性は乏しいと言わざるを得ない。