2019年07月23日 13:15 公開

アメリカのトランプ政権は22日、裁判所の手続きを経ずに不法移民を素早く強制送還できる、新たな制度を導入すると発表した。人権団体は、法的に争う構えを見せている。

アメリカでは増加する移民対策が問題となっており、トランプ氏は来年の大統領選をにらみ、強硬策を打ち出して支持層にアピールする狙いがあると見られている。

新制度は23日に官報に掲載され、直ちに米全土で施行される。

米自由人権協会(ACLU)はこの制度を問題視し、裁判で争う考えを表明している。

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拘束場所は関係なし

現在の制度では、アメリカの国境から160キロ以内の場所で当局に拘束され、同国での滞在が2週間に満たない移民についてのみ、迅速な強制送還が可能となっている。

それ以外の移民は、裁判で処遇を決める必要がある。移民には弁護士をつける権利がみとめられている。

新たな制度では、拘束された場所に関係なく、アメリカに2年以上続けて滞在していると証明できない移民を、即時に強制送還できるようになる。

移民が弁護士をつけることは難しくなるとみられる。

国土安全保障省(DHS)は、これにより多数の不法移民に効率的に対処できるとしている。

「状況を悪化させる」

トランプ政権の移民政策を厳しく批判しているACLUは、今回の変更について、法廷で争う姿勢を示している。

ACLUはツイッターで、「移民排斥を大幅に拡大し迅速化するトランプ氏の動きを早急に止めるため、訴訟を起こす」と表明。

「この国で何年も暮らす移民に認められる法的な適性手続きは、一般国民が交通裁判所で受ける法的手続きにも劣ることになる。そんな計画は違法だ。それ以外の何ものでもない」と問題視した。

「民主人権に関する指導者協議会」のヴァニタ・グプタ会長は記者団に、「トランプ政権はICE(移民税関捜査局)を、『証明書を見せろ』部隊に変容させようとしている」と批判した。

法律家で米ノースウェスタン大学教授(政治学)のジャッキー・スティーヴンス氏はロイター通信に、ICEが拘束した人々の1%と、アメリカから強制送還された人々の0.5%は実際には米国民だと説明。

「(移民の)排除を迅速化する命令は、この状況を大幅に悪化させる」と話した。

(英語記事 US brings in new fast-track deportation rule