山岸純(弁護士)

 元SMAPの香取慎吾さん、草彅剛さん、稲垣吾郎さんの3人をテレビなどに出演させないよう圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会がジャニーズ事務所に注意したと報道されました。

 公取委とは、平たく言えば、世の中の不公正な取引や市場の独占などを監視し、法的な強制力をもってそのような違反行為を止めさせたり、違反者に対し課徴金の支払いなどの不利益を課したりする、独占禁止法などを司る組織です。

 もっとも、今回の「注意」について言えば、ジャニーズ事務所が何らかの不利益を被ることはありません。

 この「注意」とは、独占禁止法などに「違反する行為」に関する証拠はないが、「違反する行為」そのものではないにしても、「違反につながる行為」が行われているようなときに、未然防止の観点からなされます。

 今回の件で言えば、「ジャニーズ事務所が民放テレビ局に対し、元SMAP3人を番組に出演させないよう圧力をかけた(疑惑)」ことは、独占禁止法が禁止する不公正な取引(排他条件付取引など)そのものではないし、これらを立証するための証拠も不十分だったが、これらの違反行為につながるおそれがあったため、「注意」がなされたわけです。

 さて、今回、民放テレビ局のほとんどが、「ジャニーズ事務所が民放テレビ局に対し、元SMAP3人を番組に出演させないよう圧力をかけた疑惑」について詳細な報道を避け、NHKのみが詳しく取り上げたとのことです。
2018年7月、パラスポーツ支援のためチャリティーソングの売上金を寄付した元SMAPの(後列左から)香取慎吾、稲垣吾郎、草彅剛ら=東京都港区
2018年7月、パラスポーツ支援のためチャリティーソングの売上金を寄付した元SMAPの(後列左から)香取慎吾、稲垣吾郎、草彅剛ら=東京都港区
 これは、NHKというテレビ局が「受信料」という金銭で成り立っていることと、民放テレビ局が「スポンサー料」という金銭で成り立っていることの違いではないかと考えます。