そもそも、ジャニーズに限らず、歌唱力や演技力、人を笑わせる能力といった「自らの芸能を商品として稼ぐ方々」、すなわち「芸能人」と呼ばれる方々と、彼らをマネジメントする、いわゆる「芸能事務所」という団体との間では、

(1) 芸能事務所が芸能人に対し、テレビに出演したり、コンサートで歌ったりするタレント業務を依頼し、その対価として報酬を支払う
(2) 他方で、芸能人は芸能事務所に対し、自らの芸能の育成やマネジメントを依頼する


といったことを内容とする双方向的な依頼関係があります。これらが、よく世間で「タレント・マネジメント契約」「専属契約」と呼ばれているものです。

 この種類の契約では、芸能人は芸能事務所から「今度、こういうコンサートで歌ってください」「このドラマに出演してください」という依頼はありますが、「こういうふうに歌ってください」「こういう演技をしてください」といった指揮命令を受けることはありません。

 なぜなら、芸能人は「芸能」という自らの能力で商売をしているわけですから、歌手でいえば「歌い方」、俳優でいえば「役づくり」に対し、いちいち指示を受けることは本末転倒だからです。

 もっとも、ジャニーズに限らず、スカウトやオーディションによって芸能事務所に所属したばかりの芸能人の「タマゴ」たちは、ろくに歌も歌えませんし、ダンスや役作りもできません。

 そこで、芸能事務所は1人、または1組の芸能人を世に売り出すまで、お金をかけて歌い方やダンスを教え、演技を指導し、そして、一定のコンセプトをもってメンバーを選定した上でテレビや雑誌などに営業活動を行い、彼らの知名度を上げていくといった「事前の投資」を行います。相当のお金がかかることでしょう。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 そのため、芸能事務所としては、カネをかけて育てた芸能人をもって投下資本の回収を図らなければなりません。しかし、ここに至って「自分たちは十分に育ててもらいました。『売れた』ので独立します。あとは自分たちでやります」というのは、例えば、「一般企業において、仕事のやり方を覚えたので独立します」という場合と異なり、相当程度、制約されなければならないと考えるべきでしょう。

 というわけで、芸能界という特殊性に鑑みれば、独立後数年間は「干される」のも、芸能界という世界に内在する自己防衛システムとして、一定程度は許容してあげても良いと思います。