2019年07月29日 12:51 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は28日、米情報機関トップのダン・コーツ国家情報長官が8月15日付で辞任すると発表した。トランプ政権から、高官がまた1人去ることとなる。両氏はこれまで、ロシアや北朝鮮問題をめぐり、しばしば対立を続けていた。

トランプ氏はこの日、ツイッターで、コーツ氏の後任には、ジョン・ラトクリフ下院議員(共和党、テキサス州選出)を指名すると明かした。

「テキサス州選出で高名なジョン・ラトクリフ下院議員を国家情報長官に指名すると発表できて、とても嬉しい。ジョンは元連邦検事で、愛するこの国のために指導力を発揮し、素晴らしい働きをするだろう。現在の国家情報長官のダン・コーツは…」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1155580140392501248


「…8月15日に辞任する。我々の国へのダンの偉大な貢献に感謝したい。長官代理は、近々任命される」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1155580142225383425


コーツ氏は大統領への辞表で、自分が長官を務めた2年半の間に、アメリカの情報諸機関は「かつてないほど強く」なったと思うと書いた。

「そのため今こそ私は、自分の人生の次の一章を始めるべきだと考えます」と長官は、辞意を伝えた。

トランプ政権からは政権幹部の辞任が続いている。レックス・ティラーソン前国務長官とジェイムズ・マティス前国防長官も相次ぎ辞任し、新国防長官は今年に入り3人が代行を務めた後、7月23日にマーク・エスパー新長官が就任したばかり。

外交方針で衝突

インディアナ州選出の上院議員とドイツ大使などを経験したコーツ氏は2017年3月に、国家情報長官に就任。中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)など、情報・諜報関係の全17機関を統括する立場にあった。

しかし、トランプ氏とコーツ氏は特にイランや北朝鮮問題などの外交方針で対立してきた。米紙ワシントン・ポストは、元情報機関幹部の話として、大統領との不和を理由に辞任は避けがたいと、コーツ長官が自覚していたと伝えた。

今年1月にはトランプ氏が、イランによる脅威に関する評価をめぐり、情報当局者は受け身で考えが甘いと批判していた。

さらに1月には、コーツ長官が連邦議会に、北朝鮮が核兵器を手放すことはあり得ないと証言。北朝鮮はもはや脅威ではないというトランプ氏の言い分を否定した。

昨年7月にトランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領がヘルシンキで開いた会談については、コーツ氏は事前に知らされていなかった様子だった。米コロラド州アスペンの安全保障フォーラムで登壇している最中に、当時のサラ・サンダース報道官のツイート内容を知らされ、驚いた表情を浮かべた。

「それはたいしたことになる」とコーツ長官は笑ってみせ、両大統領が協議した内容については自分もまだ知らされていないと話した。

後に、コーツ氏はこの時の対応について、「私の明らかに無骨な態度には、決して無礼な意味合いや、大統領の行動を批判する意図はなかった」と謝罪した。

後任は下院で大統領を擁護

トランプ氏が指名すると発表したラトクリフ下院議員は、2015年にテキサス州の選挙区から初当選。最近では24日に下院情報委員会で開かれたロバート・ムラー元特別検察官の公聴会で、ロシア疑惑捜査におけるトランプ大統領を擁護した。

ムラー氏が、トランプ氏による捜査妨害について大統領を起訴しなかったのは、現職大統領は起訴しないという司法省方針に従ったからで、「無罪を確定したからではない」と言明したことについて、ラトクリフ議員は、特別検察官には「トランプ氏の無罪を決定したり、無罪放免にする権限などない」と批判した。

議員はさらに、「推定無罪の原則」は大統領にも適用されるはずだと強調するなど、ムラー氏の捜査手法を繰り返し攻撃した。

そのラトクリフ議員が国家情報長官の後任に指名されることについて、野党・民主党のチャック・シューマー上院内総務は、「ラトクリフ議員は、ひたすらデマゴーグのようにムラー氏を追及し、トランプ大統領への盲目的な忠誠心をあらわにしたからこそ、こうして選ばれたのは明らかだ」と、新長官の人選を批判した。

国家情報長官は、上院の承認を経て就任する。上院は与党・共和党が多数を占める。

(英語記事 US intelligence chief leaves Trump administration