最近では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の事務レベル会合でも、韓国側が輸出管理問題を繰り返し取り上げている。RCEPは日本や韓国、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)など計16カ国が参加する多国間交渉の場であり、財・サービス、お金の移動などの取引ルールをつくる自由貿易圏構想である。

 WTO一般理事会と同じく、この会合でも日本と韓国の2国間問題は討議に全く関係ない。ましてや、輸出管理問題は日本の国内的な手続きの問題であり、2国間交渉の枠外である。

 もちろん、そんなことは韓国政府も十分知っていて行っているに違いない。つまり、これも「世論戦」なのである。

 輸出管理問題に関しては、世耕弘成経済産業相によるツイッター解説がすっかり最近おなじみだが、今回の会合では「交渉会合議長のインドネシアからは『RCEPに集中すべき』との発言があった」とのことである。インドネシアの議長の発言は当然正しい。

 だが、正しさと声の大きさは違うことが、韓国の「世論戦」のくせ者のところだ。おそらく、これ以後も場違いな舞台で、日本政府の対応を繰り返し非難していくだろう。

 そのような不誠実な対応は、日本政府の韓国政府に対する信頼を著しく失墜させるだけで、この問題は改善しない。韓国政府のすべきことは「世論戦」ではなく、自国の輸出管理の枠組みをきちんと設計することだ。
2019年7月24日、ジュネーブでWTO一般理事会に参加した韓国代表団(ロイター=共同)
2019年7月24日、ジュネーブでWTO一般理事会に参加した韓国代表団(ロイター=共同)
 特に、通常兵器に転用される技術や資材については、現在も全く不透明なままである。これでは「ホワイト国」から除外されても仕方がない。

 ところで、このような韓国政府の「世論戦」に似た動きが日本国内でも起こっている。今までも、この輸出管理問題を、日本のメディアや識者の一部が「輸出規制の強化」「事実上の禁輸」といった誤解を生みやすい表現や論点を用いて議論している。