当たり前の話だが、あくまで優遇措置を止めただけであり、禁輸でもなんでもない。手続きを行えば、まずよほど不透明な行いをしていない限り、韓国企業は日本からの該当する資材を購入できるだろう。

 時間がたてば、より鮮明になるだろうが、日本の輸出管理は自由貿易を制限する規制ではない。そのため、輸出管理方式の変更が対韓輸出を急減させることはないだろう。だが、問題はそうきれいに分けられない可能性もある。

 例えば、韓国経済の減速が理由で、韓国の対日貿易が縮小してしまうとしよう。そのときに、本当は韓国経済そのものの不振が原因でも、日本の貿易「規制」が貿易量の減少を招いたと、国内外に韓国政府が喧伝(けんでん)する可能性も否定できない。それが、なんでもありの韓国の「世論戦」の方向性ではないか。

 文政権の経済政策は破綻しているといっていい。最低賃金の急激な引き上げと、労働組合の強化などで、若い労働者は職を得るのが難しくなっている。若年失業率に至っては2けた近くで高止まりしている。

 また、財政政策だけは積極的でも、金融政策は引き締めスタンスを変えようとしない。このため、韓国経済を十分に安定軌道に乗せることができない。

 確かに、米中貿易戦争の影響はあるが、むしろ文政権の国内経済政策の失敗が、今の韓国経済の低迷を生み出している。このような文政権の失政そのものを、日本の責任に転嫁したうえで「謝罪」を問う可能性すらあるだろう。それが「無限謝罪要求国家」ともいえる韓国の一面ではないか。
2019年7月、韓国への輸出管理について、記者会見する経済産業省の貿易経済協力局の岩松潤・貿易管理課長(鴨川一也撮影)
2019年7月、韓国への輸出管理について、記者会見する経済産業省の貿易経済協力局の岩松潤・貿易管理課長(鴨川一也撮影)
 日本は常に国益を無視して韓国に強く配慮し、事実上「謝罪」を要求される。先ほど指摘したように、このような韓国が好む「世論戦」に近いものが、日本のメディアの一部には根強い。

 最近では、「韓国は『敵』なのか」という日本の大学教授らが中心となった声明が出されている。呼びかけ人には、和田春樹東京大名誉教授をはじめ、金子勝、香山リカ、山口二郎各氏が名を連ねており、いつもの安倍晋三政権批判者という印象が強い。