2019年08月01日 12:22 公開

アメリカの財務省は7月31日、イランのムハンマド・ジャヴァド・ザリフ外相に制裁を課すと発表した。ザリフ氏がアメリカ国内やアメリカの関連組織などに持つ全ての資産を凍結するとしている。

スティーヴン・ムニューシン財務長官は、「ジャヴァド・ザリフ氏はイラン最高指導者(アリ・ハメネイ師)の無謀な政策を実行している」と指摘した。

また、ザリフ氏を「イラン政府の世界に対する主要報道官」と位置づけた上で、「アメリカはイラン政府に対し、最近の行いは全く受け入れられないと明言する」と述べた。

「イラン政府が国民のソーシャルメディアへのアクセスを遮断している中、ジャヴァド・ザリフ外相はこうしたメディアを使い、政府のプロパガンダと偽情報を世界中に撒き散らしている」

これに対しザリフ氏は、ツイッターで反論。

「アメリカが私を名指ししたのは、私が『イラン政府の世界に対する主要報道官』だからだという。これはそんなに耐え難い事実なのか? 私はイラン国外に資産も利益も持っていないので、これ(制裁)は私にも家族にも何の影響もない。私のことを、アメリカの政策にとって大きな脅威だと思ってくれてありがとう」とやゆした。

https://twitter.com/JZarif/status/1156664257020334081

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トランプ政権は昨年、2015年のイラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開。同国の経済は打撃を受けている。

核合意に参加している中国、フランス、ドイツ、ロシア、イギリスはトランプ氏の決定を批判し、合意の継続で一致している。

しかし、イランは核合意の上限を超えてウラン濃縮度を引き上げることでアメリカに対抗しており、緊張はおさまっていない。

アメリカを除く各国は先週、ウィーンで核合意の継続に向けた話し合いを行った。イランの政府高官は、協議は「建設的な」雰囲気だったと語っている。

一方、アメリカ政府は31日、制裁の一部免除を延長した。この措置では、ロシアと中国、欧州各国に、イランと民間での原子力開発の協力を認めている。

ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、今回は「90日間の延長にとどめる」と説明した。

「つまり、我々はこの原子力開発を非常に、非常に細かく監視しているということだ」

ホルムズ海峡での緊張

核合意をめぐる米・イランの緊張は、海運の要衝であるホルムズ海峡にも飛び火しており、イギリスも巻き込んで緊張が高まっている。

イギリスとイランの間では7月4日にジブラルタル沖で、欧州連合(EU)制裁に違反してイランからシリアへと原油を輸送していたとみられるタンカー「グレース1」を英海兵隊が拿捕(だほ)した。

ハント外相は「グレース1」の拿捕は合法だと説明したものの、イラン側は「海賊行為」と非難し、報復としてイギリスの石油タンカーを拿捕すると警告。イランは19日に、イギリス船籍の石油タンカー「ステナ・インペロ」を拿捕した

英国防省は11日にも、ペルシャ湾を航行中のイギリスの石油タンカーをイランのボートが妨害しようとしたと発表したが、イランはこの事実を否定している。

アメリカとイランの間では18日、米政府がホルムズ海峡で米海軍艦艇に接近したイランのドローン(小型無人機)を撃墜したと明らかにした。トランプ大統領によると、ドローンが米海軍の強襲揚陸艦「USSボクサー」に914メートル強の距離まで接近したため、「防衛措置を講じた」という。

一方でイラン側は、このドローン撃墜に関する情報はないと反論している。

6月にはイラン革命防衛隊(IRGC)がイラン上空で、アメリカの偵察ドローンを撃墜した。これについてイランは、米軍がイラン領空を侵犯したと主張している。

5月には、アラブ首長国連邦(UAE)沖で、サウジアラビアの石油タンカー4隻が攻撃される事件が発生。アメリカはイランの関連を指摘しているが、イランはこれを否定している。

(英語記事 US sanctions Iran's Foreign Minister Zarif