秋田選挙区は自民候補が過去3連勝し、3年前の参院選でも、東北6県で自民が唯一勝利した選挙区だった。ところが、今回、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備問題が争点に急浮上したとたんに逆風が吹き荒れ、自民の現職候補は敗北を喫した。

 争点こそ辺野古とイージス・アショアで異なるが、その負け方は沖縄県の選挙とそっくりなのだ。秋田では、野党が沖縄と同じく、統一候補を擁立していた。そんな中、防衛省の不手際が続いたこともあり、イージス・アショアの配備が争点として大きくクローズアップされた。そして、自民党候補が争点外しのため、配備への賛否を明確にしなかったのである。

 要するに、沖縄と秋田が負けパターンに陥った最大の原因は、ひとえに有権者が政府の安全保障政策に理解を示さなかったことにある。そうであるなら、ここで立ち止まって考えなければならない。

 そもそも、安全保障問題に関する有権者への説明責任は誰にあるのだろうか。果たして国政選挙の候補者なのか、それとも都道府県知事なのか。

 いずれもNOである。それは安全保障政策の執行者、すなわち防衛省であるべきだ。究極的には防衛大臣、そして自衛隊の最高指揮官たる総理大臣ということになる。

 では、防衛大臣はこれまで、沖縄でどのような説明をしていたのだろうか。防衛大臣が沖縄入りした際には、知事と面談して辺野古移設への理解を求めるケースが非常に多い。
秋田選挙区で当選を決め、支持者と握手する野党統一候補の無所属新人寺田静氏(右)=2019年7月21日夜、秋田市
秋田選挙区で当選を決め、支持者と握手する野党統一候補の無所属新人寺田静氏(右)=2019年7月21日夜、秋田市
 しかし、仮に知事が理解を示したとしても、有権者に何らかの説明があるわけではない。有権者が理解していないから、選挙になれば、マスコミの報道に大きく影響されてしまう。

 今回の秋田選挙区でも、安倍晋三首相が現地に応援に入り、イージス・アショアの必要性を懸命に訴えた。しかし、それも時遅し。選挙戦がスタートしてからでは、難しい話をしても誰も聞くわけがないのである。