結局、秋田の結果から言えるのは「安全保障政策を推進する立場の自民党が、安全保障が争点になった選挙には極めて弱い」と明らかになった選挙だったのではないだろうか。

 つまり、沖縄での選挙の連敗は沖縄の特殊事情で敗れたのではない。国防の「最前線」にある沖縄の選挙で、最大の争点が安全保障だったから負けたのである。

 そう考えれば、全国どの選挙区でも、安全保障が最大の争点に浮上すれば、沖縄や秋田と同じように自民系候補が落選の憂き目を見る可能性が高くなるのではないだろうか。

 これは、日本の未来にとって危惧すべき問題だ。もし、安全保障を取り巻く環境がさらに厳しくなり、国防力の強化が必要になった最も重要な時にこそ、自民党が野党に転落する可能性が高くなるとは言えまいか。

 だが、このような状況を作り出した原因は自民党にある。長く政権与党の座にある間、国防の大半を米軍に依存し、自ら国防政策についての議論を深めることもなく、国民の国防教育も怠ってきたことにある。そうして、政治家は国防に関する説明能力を失い、国民は安全保障に関する理解能力が奪われたのだ。

 今からでも遅くない、自民党はこの課題を克服するためにあらゆる手を打つべきだ。選挙が始まってから国防政策を説明したのでは意味がない。
会談後、秋田県の佐竹敬久知事(右)に歩み寄り、改めて頭を下げる岩屋防衛相=2019年6月17日、秋田県庁
会談後、秋田県の佐竹敬久知事(右)に歩み寄り、改めて頭を下げる岩屋防衛相=2019年6月17日、秋田県庁
 本来なら、大学に地政学や軍事学のコースを設置し専門家を育成し、国民の素養を向上させるべきだが、急にはそこまでは届かない。

 まずは、自民党所属の政治家全ての安全保障知識の素養を上げるとともに、選挙運動の最前線に立つ党員に選挙運動で自民党政府の国防政策を一般の有権者に説明できるように育成すべきではないだろうか。国民の国防に対する理解力と政治家の説明能力の向上こそが、日本の国防力の基礎につながっていくはずである。