さらには、気持ちが前向きになるので、何事も建設的に考えられます。精神的にも余裕が生まれるから、仲間にも優しくなれるし、人間関係も良くなります。褒め称えてくれるリーダーの存在はいい事だらけなのです。

 いいプレーを感情全開にして褒め称えてくれるリーダーが心の中にいてくれると、選手たちはいつも褒め称えてもらっているような気持ちになれます。したがって、矢野監督のように、大きな感情表現で選手の心の中に存在し続けられる監督は、選手のパフォーマンスもチームの雰囲気も良くしてくれるのです。

 ところが「社会的抑制」という効果もあります。これは社会的促進の反対で、「見ていてくれる」ということでパフォーマンスが落ちてしまう現象です。

 では、社会的促進と社会的抑制を分けるものとは、いったい何でしょうか。それは、パフォーマンスに自信が持てるかどうかにかかっています。自信が持てないと「見ていてくれる」ことがプレッシャーにつながって、逆にパフォーマンスが落ちてしまうのです。

 いいプレーを全力で褒めてくれる矢野監督が心の中にいる場合、よくないプレーで褒められなかった場合、選手としては喪失感や自分への失望を強く感じてしまいます。プレーに自信がなければ、監督の期待を裏切ることが怖くなってしまい、心の中の監督の存在が選手を追い詰めてしまいかねないというリスクがあるのです。

 とはいえ、阪神は優秀な選手が揃った伝統あるチームです。選手たちも「これは誰にも負けない」といえる得意プレーを持っていることでしょう。
9回、厳しい表情で試合を見つめる阪神・矢野監督(中央右)=2019年6月、倉敷
9回、厳しい表情で試合を見つめる阪神・矢野監督(中央右)=2019年6月、倉敷
 ただ、阪神は結果が伴わないシーズンが多いことが特徴といえます。それでも、今季はここまで「矢野ガッツ」に支えられながら、選手たちのベストパフォーマンスが引き出されてきたようです。

 7月に入って、6連敗を喫するなど正念場を迎えていることは間違いないでしょう。「矢野ガッツ」がプラスとマイナス、最終的にどちらの影響を及ぼすか、まだまだ目が話せないシーズンになりそうです。