NHKは、災害時の情報提供や「紅白歌合戦」などの通常番組に加えて、「教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、市場性や視聴率だけでは計ることの出来ない番組も数多く放送しています」と説明している。教育番組や福祉番組、古典芸能番組と並べても「そんなの見ないよ」の大合唱が起きそうだ。

 民間放送(民放)では提供できない番組は他にもある。例えば、地域情報を報道する番組がそうだ。NHKには宇都宮放送局があるが、関東広域圏の民放は栃木県の情報をめったに放送しない。NHKには中国地方各県の情報をまとめて提供する番組があるが、広島県の民放は隣接県の情報を流さない。地域情報を報道することは地域活性化のために意義深い。

 そして、外国人への番組も必要だ。海外向け放送もそうだが、緊急避難情報など国内にいる外国人向けの報道が求められる場合もある。マイナースポーツもNHKしか放送しないが、偶然に放送を見て「僕も始めよう」と考える子供が出るかもしれない。

 放送は大きく報道・教育・教養・娯楽・その他で編成されるが、NHKは報道や教育の比重が民放より高く、その一方、民放で多く放送されるワイドショーは報道番組とは言い難い。

 要するに、NHKには民放にない番組がある。スクランブル化すると収益を得るために市場性や視聴率が重視されるようになり、報道や教育の比重が下がる恐れがある。

 こうした現状の中、ほとんど全ての家庭にテレビがあるのに、NHKに受信料を払い契約している世帯は8割程度で、およそ2割は受信料を支払っていない。この2割から受信料を得るために働く集金人が多くのトラブルを起こし、N国の議席獲得の要因にもなった。

 公共放送を維持するには他の方法もある。受信料制度のままでも支払いを義務化し、拒否者からは罰金を取るようにすればよい。
英BBCのテレビセンター(ゲッティイメージズ)
英BBCのテレビセンター(ゲッティイメージズ)
 英国にはこの制度がある。国営化も一つの考え方だろう。灯台や図書館など、公共の福祉のための施設は税金で運用されている。図書館など行かないという人の税金も投入されているように、NHKなど見ないという人の税金も回せば公共放送は維持できる。