2019年08月07日 14:01 公開

ロシア検察当局は、7月27日の未許可抗議集会に子連れで参加した夫妻について、息子(1歳)の親権を取り上げる意向を明らかにした。

当局は声明で、この夫婦は息子を第三者に預け、その命を危険にさらしたとしている。

これに対して夫婦はBBCの取材に対し、息子を友達に抱いてもらっていただけだと述べた。

27日の抗議集会は、9月に行われるロシアのモスクワ市議選(定数45)で、市選管が野党の有力候補の出馬を相次ぎ拒否したことを受けたもの。

一連の抗議で千人以上が拘束されている。

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モスクワの検察庁は声明(ロシア語)で、裁判所にこの夫婦の親権を取り上げるよう求めたと発表した。

また、「デモの最中、この両親は年齢的に無力な状態の幼い子供を第三者に預け、男児の健康と命を脅かした」と説明している。

「子供を搾取することで、この両親は親権を乱用し、息子に損害を与えた」

検察当局はまた、子供の父親はモスクワに一時的に住んでいるだけで、市議選への投票権はないと指摘している。

その上で、7月27日から8月3日の間に子供を抗議集会に連れて行った他の親や、未成年に抗議への参加を促した大人も捜査していると述べた。

夫婦の主張は?

ディミトリ・プロカゾフさん、オルガさん夫妻は、散歩に出ている最中にデモと出くわしたと話している。

ディミトリさんは、「公正な選挙を求めるデモ行進があるのは知っていたし、連帯を感じていたので(中略)怖いとは思わなかった」と語った。

デモ参加者を眺めていた際、ディミトリさんは友人のセルゲイ・フォミンさんを見つけ、一緒に列から離れるよう促した。フォミンさんはこれに同意し、その後、ディミトリさんは息子をフォミンさんに抱いてもらった。

ディミトリさんは、フォミンさんは親友で、オルガさんのいとこで、2人の長男の名付け親だと話した。

「わずかにでも問題になりそうなことをしているなど、まったく思いもよらなかった」

検察は、警察は抗議に参加したことでフォミンさんを探していると説明。また、他人の子供を抱くことで警察の包囲を脱出したと指摘している。フォミンさんの居場所は分かっていない。

検察の措置については当局側からも批判の声が上がっている。

モスクワの未成年人権オンブズマンを務めるエフゲニー・ブニモヴィッチ氏はラジオに出演し、「どんな政治的状況であっても、子供を脅迫のタネにつかうのは受け入れられない」と話した。

ロシアの人権審議会のミハイル・フェドトフ会長は、子供と第三者の問題は、祖父母やベビーシッターといった人たちに影響が出る危険性があると指摘した。

フェドトフ氏はインタファクス通信の取材で、「前例を作ってしまうと、すべての親が頭を抱えることになりかねない」と語った。

野党指導者は「アレルギー反応」で搬送

27日の抗議集会は、野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の呼びかけで行われた。この日は1000人以上が逮捕され、ここ数年で最も大きな取り締まりとなった。

次の週にも同様の抗議が行われ、600人以上が逮捕されたほか、警察による暴力があったと報じられている。

また、ナワリヌイ氏や弁護士のリュボフ・ソボル氏といった活動家が、抗議集会との関係で相次いで逮捕・収監された。

ソボル氏は現在ハンガーストライキを行っており、8月10日に行われる許可を得たデモ行進への参加を市民に呼びかけている。

一方のナワリヌイ氏は収監中、顔がはれ上がり、目に異常があり、体に発疹が出たため、刑務所からモスクワ市内の病院に移送された。

病院の医師は過剰なアレルギー反応だとしているが、ナワリヌイ氏と専属医は毒を盛られた可能性もあると話している。

(英語記事 Russian protest couple face losing custody of son