有権者も軽く見られたものです。もっと賢くなってもらいたいです。せめて公式ウェブサイトくらいは見て、税制・財政、外交・安全保障、福祉・教育、これらに関する主義主張がちゃんと書かれているか、それが自分の望む政策と一致するか、それくらいは考えましょう。これらの政策が一切書かれていないN国のような政党に投票するとは、有権者はいったいどんな神経をしているのかと疑いたくなります。

 小さな政党、新しく奇抜な政党だからダメだというわけではありません。最も重要な国の政策が何も存在しない政党だからダメなのです。NHKから受信料を取られなくなったからといって、あるいは安楽死制度が認められるようになったからといって、それだけで私たちの暮らしのさまざまな問題が根本から解決するわけがないでしょう。

 小さく新しい政党でも、山本太郎氏が代表の「れいわ新選組」のように、財政をきちんと試算した政策を打ち出している政党は、一部の知識人の間で評価されていました。消費税撤廃という奇抜な政策でも、それがもたらす経済効果、失われる財源と補完する所得税・法人税のあり方まで計算されていて、その是非はともかく国政レベルの政策を訴えていたからです。

 大きな政党の場合、政策をきちんと打ち出しているつもりでも、逆にそれが概念的になりすぎたり、抽象的になりすぎたりして、国民にピンと響き伝わることがないケースもあるようです。そんな既成政党の選挙戦の隙間を縫って、N国のように卑近な論点の政党が入り込んでしまったのだと言えるでしょう。

 立花氏は7月29日には、北方領土を武力で取り戻すと発言して維新の会を除名になり与野党から議員辞職勧告を受けている丸山穂高衆院議員を受け入れたり、翌日30日には元行政改革大臣の渡辺喜美参議院議員と新会派「みんなの党」を結成したりと、支離滅裂な徒党を組んで党の勢力拡大を図っているようですが、N国は元々が政策のない党だっただけに期待は全く持てません。

 渡辺氏も5年前にみんなの党を解党して以来、何があったのか分かりませんが、このような数合わせに走るとは、渡辺氏も焼きが回ったものだと言わざるをえないでしょう。渡辺氏ほどの大物議員ですから、あるいはこんな素行の悪い議員でも配下に収めて、駒として使おうという考えかもしれませんが、参議院最低の徒党であることは間違いありません。
新会派結成を発表しNHKから国民を守る党の立花孝志代表(左)と握手する渡辺喜美参院議員=2019年7月、参院議員会館(萩原悠久人撮影)
新会派結成を発表しNHKから国民を守る党の立花孝志代表(左)と握手する渡辺喜美参院議員=2019年7月、参院議員会館(萩原悠久人撮影)
 投票率が過去2番目に低かった参院選。本命は次の衆院選です。衆院選は小選挙区制ですから参院選のような党名トリックは使えませんが、大局を左右する衆院選でも「分かりやすさ」は肝になると思われます。国民がより賢くなる必要があるのはもちろんのこと、各政党も自分たちの政策を分かりやすく国民に示し、論点をより明確にして具体的にアピールする工夫が求められているのだと、改めて思い知らされた参院選でした。