2019年08月10日 12:33 公開

発電所での故障が原因で9日夕、ロンドンを含むイングランドとウェールズの広い範囲が停電し、100万人近くが影響を受けた。ロンドンでは鉄道や地下鉄も運行できなくなり、大勢が帰宅困難な状態になった。

英送電会社ナショナル・グリッドによると、2カ所の発電所で起きた故障が原因だった。午後5時すぎに停電が発生し、午後6時半には解消されたというものの、影響は深夜まで続いた。

イングランドの中部ミッドランズ、南東部、南西部、北東部、およびウェールズ地方で停電となり、交通などが混乱した。ロンドンの主要ターミナル駅のひとつ、キングスクロス駅では数百人が立ち往生した。

道路の信号機が作動しなくなった地域もある。

西部送電会社によると、西部ウェールズの4万4500戸を含む全50万戸で、午後6時過ぎに電気が復旧した。北部送電によると、午後5時10分から午後6時の間に11万戸が停電となった。北西電力によると、北西部では少なくとも2万6000戸が停電となった。UKパワー・ネットワークスの広報によると、ロンドンと南東部で30万戸が影響を受けた。

ナショナル・グリッドは声明を発表し、「一連の出来事は当社の管轄外で起きたことだが、対応のための計画は策定してあり、計画通り電力需要の一部を切断することで電力系統は稼動を続けた」と説明。これによって電力網は「自己防御し、周波数の低下を制限できた」ため、「早急な回復」につながったという。

一方で、規制当局のガス・電力市場規制局(Ofgem)は、「どういう問題が発生したのか理解し、将来的にどういう対応が必要か決めるため、ナショナル・グリッドから早急に詳細な報告を求めた」と明らかにした。

英運輸省は、「本日の停電の影響は交通にも波及した。できるだけ速やかに運行が再開し、誰もが無事に目的地までたどりつけられるよう、ネットワーク・レイルなど鉄道各社と共に懸命に努力している」とコメントした。

金曜帰宅ラッシュのピークで

金曜夜のラッシュ時のピークになってもキングス・クロス駅を出る電車は全線運休のままで、その状態がほぼ終日続いた。

乗客のゾーイー・ヘブルスウェイトさんは、駅の外は「まったくの混乱状態」で、状況について質問しようにも「職員がまったく見つからなかった」と話した。

利用者に対して駅舎を出るよう求めるアナウンスが繰り返されていたと、BBCのエマ・ペトリ記者は伝えている。

午後9時ごろのキングス・クロス駅では1000人以上が立ち往生し、ロンドン・ノースイースト鉄道(LNER)とナショナル・レールが同日中の運行再開の見通しは立たないとアナウンスした。

しばらくすると一部の路線で近距離の運行は再開されたが、全線復旧には至らなかった。

スコットランド・エジンバラからロンドンへ向かう列車に乗っていたという乗客はBBCラジオに対して、通常なら5時間弱で着くところが13時間近くかかったと話した。

「7時間目にもなると、事態は緊迫し始めた。周りに何もないどこか分からないところに、ずっと停まっていたので。食べ物は5時間ほど前に尽きていたし。ただじっと座っているしかなかった」

ロンドン南部のターミナル駅、ウォータールー駅でも列車は全て休止。電光掲示板は運行情報を表示しなくなった。

テムズ川南岸のバタシー地区にいたというハリエット・ジャクソンさんは、信号機が止まり自動車が停止しなくなった様子は「この世の終わり」の光景のようだったと話す。

「金曜の午後なだけに、こんな事態は本当に勘弁してもらいたい」とジャクソンさんは強調した。

停電に巻き込まれた女性は、「クラパム・ジャンクションでは通勤客がトンネルで電話の灯りを使ってる。自動ドアが動かなくなったので、私は列車内に閉じ込められた」と動画をツイートした。

https://twitter.com/AislingJane_/status/1159869984341757952


イングランド北部のニューカッスル空港では、15分ほど停電が続いたものの、ロンドン周辺のヒースロー、ガトウィック、ルートンの各空港では影響はなかったという。

ニューカッスル空港にいたスコット・マケンジーさん(31)は、「色々な警報が鳴っていた」と話す。「文字通りの暗闇で、みんな電話を懐中電灯代わりに使っていた」。

同空港にいた男性はツイッターで、「大停電でニューカッスル空港全体が封鎖状態。すばらしい夏休みの始まりだ。まさにこれからチェックインするところだったのに」と書いた。

https://twitter.com/richylavender/status/1159860307671625728



<解説> ベン・アンドBBC編集委員

今回の停電の影響は巨大だ。国の電力網が果たしてどれくらい頑健なのか、疑問視する声が相次ぐに違いない。

BBCが取材したところ、9日午後4時に2カ所の発電施設で問題が起きた。1つはケンブリッジシャーで、天然ガスと水蒸気を使う伝統的な火力発電所。もう1つは北海に設置された巨大な風力発電設備(ウインドファーム)だった。

ナショナル・グリッドは「想定外の異例な事態」と呼んだ。

これに加えて、北部ヨークシャーにあるイギリス最大の発電所で需給バランスが崩れたことも、影響しているかもしれない。電力供給量が急激に下がったため自動制御機能が作動し、電力系統の一部への出力がただちに停止された。

午後6時半までに問題は解決され、電力系は正常に動いているとナショナル・グリッドは説明した。

しかし、その影響はさらに数時間にわたり続いた。


(英語記事 Major power failure affects homes and transport