田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 韓国政府は、12日午後、日本を輸出管理上の優遇措置を取る「ホワイト国」から外す制度改正案を発表し、9月からの実施を見込んでいるとした。この韓国政府の対応は、もちろん日本政府による同国への輸出管理の変更に対する「報復措置」である。

 しかも、この韓国の「報復措置」は、同国のずさんな輸出管理体制そのものを表している。日本をホワイト国から外すだけではなく、明らかに恣意(しい)的な区分で、日本だけを対象とした新グループを創設していることからも明瞭である。簡単に言って「嫌がらせ」だ。

 正直、ここまで恣意的な運用は、むしろ韓国の輸出管理体制がいかに国際的な基準から問題をはらんでいるかを、自ら証明しているともいえる。ルールに基づいた運用を行っていないのだ。

 確かに、日本側はホワイト国から除外したが、それでも他の諸国よりも優遇した扱いを維持している。具体的には、「ホワイト国」をグループAにし、「非ホワイト国」をグループB、C、Dにした。

 韓国は国際的な輸出管理レジームに参加し、一定要件をみなす国としてバルト3国などと同じ扱いである。韓国のように日本だけの「別扱い=嫌がらせ」はしていない。

 言っても仕方がないことではあるが、なんともお粗末な対応である。ルールなき人治主義の表れだと思う。

 ちなみに、韓国からホワイト国を外されても、日本が被る経済的な影響は軽微だ。韓国政府は日本に対する「ホワイト国外し」を交渉材料にしたいようだが、日本は相手にすべきではない。
「経済報復」などと書かれた紙を細断するパフォーマンスを行い、日本の輸出規制強化に抗議する韓国の若者ら=2019年8月10日、ソウル(共同)
「経済報復」などと書かれた紙を細断するパフォーマンスを行い、日本の輸出規制強化に抗議する韓国の若者ら=2019年8月10日、ソウル(共同)
 ここで輸出管理問題について、おさらいしておこう。対外的な取引には主に二つの面がある。一つは経済的な貿易面、そしてもう一つは安全保障面の交渉である。

 輸出管理問題は、この貿易面と安全保障面の接点に位置する話題である。核兵器などの大量破壊兵器の開発、または通常兵器に利用される可能性の高い輸出案件に関する問題が今回の「輸出管理問題」の全てである。この領域に関わる財の数量は極めて限定的である。