2019年08月13日 15:24 公開

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は13日、記者会見を開き、反政府デモの参加者たちに向け、香港を「どん底」に陥れないでほしいと感情をあらわにして訴えた。

林鄭氏は、香港が「危険な状況に達した」との見方を表明。暴力が「引き返し不能な道」へと香港を追い込むと警告した。

デモ参加者に向け、意見の違いを脇に置くよう求めた際には、涙を流す寸前だった。

AFP通信は、林鄭氏が「一息おいて考え、私たちの街や家を見てほしい。どん底に落ちてしまうのを、みんな本当に見たいのか」と話したと伝えている。

この「どん底(abyss)」発言は、香港にある中国政府の出先機関「香港連絡弁公室」スタッフの、「テロ残虐行為が続くのを許されるなら、(香港は)底なしの深淵(bottomless abyss)に落ちる」という言葉と似通っている

自治権の有無、明快に答えず

会見では、デモの発端となった「逃亡犯条例」改定案の扱いについて記者から質問を受け、林鄭氏が明確な回答を避ける場面もあった。

同改定案は、犯罪容疑者の中国本土への引渡しを可能にする内容。市民の反発を受けた香港政府は審議を棚上げにしたが、デモ参加者たちは改定案の完全な取り下げを求めている。

記者からは、改定案を取り下げないのは中国に手足を縛られ自治権がないためか、それとも個人的な思いが理由なのかと質問が飛んだ。林鄭氏はこれに直接は答えず、記者が「自治権があるのか、イエスかノーかで答えて」と重ねて質問しても、「すでに答えた」と応じた。

警官隊を擁護

デモ参加者に至近距離からゴム弾を発射したり、警棒で叩いたりするなど、暴力的な行為が問題視されている警官隊については、「極めて難しい状況」に置かれているとして、林鄭氏はかばう姿勢を示した。

林鄭氏は、警官隊の行動は「私のような人が決定」できた性質のものではないと説明。警官隊には「その場での判断」が求められたと述べた。

また、自らの役割は「香港を安全で秩序ある街に保つ」ことだと加えた。

その上で、「暴力が止まり、混乱状態が鎮まった後には(中略)私が責任をもって香港の経済を立て直し、できる限り熱心に市民の不満に耳を傾け、香港の前進を促す」と話した。


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6月に始まった香港の反政府・民主化デモは、2カ月以上にわたって続いており、鎮静化の兆しが見えていない。

12日にはデモ参加者が香港国際空港を占拠し、欠航便が相次いだ。空港は13日朝から運営を再開したものの、なお数百便が欠航となる見通しだ。

(英語記事 HK leader warns city is being pushed into 'abyss'