2019年08月14日 11:12 公開

性的人身取引で起訴され勾留されていた米富豪ジェフリー・エプスティーン被告がニューヨークの拘置所内で急死した問題で、刑務官1人と看守2人が配置換えや休職などの処分を受けた。被告は自殺した可能性があり、連邦捜査局(FBI)が事実関係の捜査に着手した。アメリカだけでなく各国の政財界に幅広い交友関係があるエプスティーン被告なだけに、来年開始予定の公判における証言が注目されていた。

エプスティーン被告がニューヨーク市マンハッタン南部のメトロポリタン矯正センター(MCC)で10日朝に死亡した問題で、ウィリアム・バー司法長官は12日に警察関連のイベントで登壇し、「私も司法省全体も、MCCが(エプスティーン被告の)安全を十分に確保しなかったと知り、愕然(がくぜん)として、正直言って立腹した」と発言。「施設内に深刻な規則違反があった」ことが分かったため、「何があったのか解明し、しかるべき形で責任をとらせる」と述べた。

バー長官はさらに、エプスティーン被告が死亡したからといって共犯たちは安心してはならないと釘を刺し、被害者たちのために「正義を実現する」と強調した。

この発言に続き長官は13日、事実関係の捜査を進める間、MCCの所長を異動させるほか、看守2人を休職処分にすると明らかにした。

エプスティーン被告は今年7月、未成年者の性的人身取引と共謀の罪で起訴された。罪状を否認し、保釈を認められず勾留されていた。保釈申請が却下されて間もなく、首に負傷して意識不明になっているのを見つかり、病院に搬送された。拘置所は自殺未遂だった可能性を調べていた。この後、自殺防止のため被告が常時監視下に置かれていたかどうかは、情報が錯綜している。

ニューヨーク連邦地検の訴状によると、被告は2002~2005年、ニューヨーク市マンハッタンとフロリダ州に所有する邸宅に未成年を引き入れていた。被害者は最年少で14歳で、数百ドルと引き換えに性行為を強いられていたという。

人手不足のため

13日付の米紙ワシントン・ポストによると、MCCはアメリカ国内の多くの刑務所や拘置所と同様に、かねて人手不足と過密収容の問題を抱えていた。被告が死亡した当日に監房の警備を夜勤残業で担当していた看守の1人は、専門の看守ではなく、人手不足のために看守作業をさせられていた別の職員だったと、職員組合関係者の話として伝えた。

連邦刑務所で働く看守を代表する労組は、多くの看守が超過勤務を強いられていると声明を出した。

連邦職員労組刑務所委員会のエリック・ヤング委員長はBBCに対して、刑務所や拘置所では多くの場合、刑務官・看守などの専門職員ではない、教師や看護師や事務員などが「補完」として監視作業に就いていると明らかにした。

エプスティーン被告は7月下旬に自殺未遂とみられる状況で発見された後、しばらくは常時監視下に置かれていたが、今月に入るとそれは中止されていた。同じ監房に2人で入っていたものの、相手が保釈され1人になった後に、首をつったようだと報じられている。30分おきに看守が状態を確認することになっていたが、それが実施されていたかどうかを含め、状況ははっきりしない。

ニューヨーク出身のエプスティーン被告は、教職を経て金融業界に入り、ヘッジファンド運営者として財産を築いた。逮捕されるまでは、ドナルド・トランプ米大統領やビル・クリントン元大統領、イギリスのアンドリュー王子など、政財界の富裕層や有力者との幅広い交流で有名だった。

トランプ氏は何と

トランプ氏は13日、ニュージャージーで報道陣に対して、「全面的な捜査をしてもらいたいし、それを断固として要求している」と話した。

「司法長官は、我々の素晴らしい司法長官は、まさにそうしている。全面的に捜査している」

トランプ氏はエプスティーン被告の死亡が発表されて間もなく、クリントン元大統領の関係者が被告を殺害したという陰謀論のツイートを、リツイートしたことで、広く非難されている。しかしこれについてトランプ氏は、そもそものツイートを書いたコメディアンのテレンス・K・ウィリアムズ氏について、「とても尊敬されている保守派の有識者」と呼び、その人による陰謀論ツイートを自分が拡散したことを擁護した。

「彼はすごいトランプ・ファンなんだ。それにあれはリツイートで、僕が書いたわけじゃないから。だから自分のしたことは大丈夫だと思う」

(英語記事 Jeffrey Epstein: Two guards suspended and warden removed over death