現在の日韓対立の原因の一つとなっている徴用工問題について、海外メディアの多くはいたって冷静である。スペインのEFE通信社の配信記事(2019年7月27日付)では、東アジア政治史が専門のアルゼンチン国立科学技術研究所のマリア・デル・ピラール・アルバレス教授がこの問題を論じている。

 日本は1965年の日韓国交正常化で5億ドルの経済援助をしたが、韓国政府はその資金をインフラ整備に使ってしまったという背景を述べたうえで、〈従って、日本側としては、韓国政府が犠牲者に対して支払いを行なわなければならない〉と主張しているとし、〈しかし、韓国は対話が必要だと言っている〉とつじつまが合わない韓国の対応を非難している。

 ワシントンポスト紙(7月15日付)は、今回の輸出管理強化の理由は、徴用工判決などの韓国の動きが、〈日本にとってのレッドラインを越えたからだ〉としている。

 アジアで非常に人気の高い香港のニュースサイト、アジア・タイムズ(7月16日付)は、韓国への輸出優遇措置廃止を取り上げ、日韓の歴史的な因縁が背景にあると解説している。

〈1990年代には、反日主義は反共産主義に取って代わり、韓国政界の中でもっとも強力に感情に訴える力となった。朝鮮戦争のほうが多くの血が流され、大きな破壊を引き起こしたのにもかかわらず、植民地時代のほうが韓国史の暗黒時代であったと広く描かれている〉

 朝鮮戦争ではおよそ130万人の韓国人が死んだが、北朝鮮は同胞であり、日本はいまだ敵国扱いである。

〈植民地時代のもっとも醜い部分のみが学校で教えられ、博物館で展示される。(中略)報道機関は自己検閲する。学者は、少しでもこの路線から逸れた意見を言うと、大騒動になって黙らされる。訴えられたり、罰金を受けたり、論文を却下されたり、仕事を失うことさえある〉(同前)

 韓国には言論の自由がないと伝えているのだ。事実、この7月半ばには大統領首席秘書官や報道官が、日本の輸出管理強化以降、政権批判を強めていた「朝鮮日報」と「中央日報」を名指しして「売国的だ」と批判したが、それ以降、両紙から政権批判の記事はぱったりと消えている。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 ウォールストリート・ジャーナル紙やタイム誌などに寄稿している韓国在住アメリカ人記者、スティーブン・ボロウィッツ氏は現在の日韓対立をこう見ている。

「韓国政府のスタンスは感情に突き動かされている。ここ数週間、韓国人と話をしながら、感情で大騒ぎしても外交でまともな議論は生まないと説明してきましたが、彼らは『被害者のことを考えろ!』と私にまで言うのです。韓国には、日本に対する敵意を永遠に維持し、断じて和解すべきではないと言う人々がいる。その少数の人たちが国家の政策を左右すべきではないと思うのですが……」

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