2019年08月15日 9:32 公開

アメリカの株式市場は14日、株安が急激に進み、主要株価指数が軒並み3%下落した。アメリカと中国の貿易戦争や世界経済の停滞などから、米経済の景気後退の懸念が高まっている。

またドイツや中国の経済不振に加え、ドナルド・トランプ米大統領がアメリカの中央銀行に当たる連邦準備理事会(FRB)を非難したことで、金などの安全資産への逃避が加速した。

ブルーダーマン・アセット・マネジメントの首席市場アナリスト、オリヴァー・パーシェ氏は、世界市場の見通しは不安定だと説明した。

「香港で起きていること、イギリスの欧州連合(EU)離脱や貿易戦争で起きていること、全てがめちゃくちゃだ。世界中の中央銀行が経済の建て直しを図っている一方で、政治家がこぞって経済を壊そうとしている」

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ドイツの統計局は14日、2019年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)成長率が0.1%のマイナス成長になったと発表。中国でも、7月の鉱工業生産が過去17年で最低水準を記録した。これを受け、ロンドンのFTSE100種総合株価指数は1.5%、ドイツとフランスでも2%下げて終了した。

またアメリカでは2007年6月以降で初めて、2年債の利回りが10年債を上回る逆イールド現象が起こり、市場に不安が走った。逆イールド現象は景気後退の前兆とされている。

こうした中、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が発表しているボラティリティー指数、通称「恐怖指数」が4.26ポイント上がり21.78へと急上昇。金のスポット価格も1%以上跳ね上がった。

一方、S&P500種株価指数を構成する主要11業種全てが下落に転じ、特にエネルギーと金融が落ち込んだ。

トランプ大統領はFRBを再び非難

トランプ大統領は一連の市場の混乱について、FRBとその金利政策にあると述べ、ジェローム・パウエル議長を「無力」と非難した。

トランプ氏はツイッターで、「我々は中国相手に、大いに勝っている。企業や仕事はどんどん逃げ出している。我々への値段は上がっていないし、下がったものもある。香港は困ったものだが、我々にとって問題は中国じゃない。問題はFRBだ。(金利を)急激に上げすぎて、下げるのは遅すぎる」、「金利が高すぎて、他の国が無力なパウエルとFRBにありがとうと言っている。ドイツや他の国はちゃんとしている! 馬鹿げた逆イールド現象! さっさと大きな利益を上げるべきだったのに、FRBがそれを邪魔している。我々は勝つ!」とFRB批判を連投した。

14日朝には、ホワイトハウスのピーター・ナヴァロ国家通商会議委員長がフォックス・ビジネス・ネットワークで、FRBは「早急に」政策金利を0.5%下げるべきだと指摘。これによって株式市場が活性化するとしていた。

アメリカ政府は先に、9月1日に予定していた対中追加関税の一部を延期すると発表したが、景気後退への懸念は薄れていない。

オレゴン大学のティム・デュイ経済学教授は、「トランプ政権の通商政策は気まぐれだと分かっているため、先行き不透明感がぬぐえないのが問題だ」と語った。

FRBも、昨年9月までは明るい経済見通しを示していた。トランプ政権による15兆ドルの減税措置や2018年の投資が経済成長を長引かせ、高めの金利維持の根拠にもなると考えていた。

トランプ氏は、2020年の米大統領選の選挙活動で、経済成長を成果としてアピールしようとしている。

FRB前議長のジャネット・イェレン氏は、16日にフォックス・ビジネス・ネットワークで放送予定のインタビューで、アメリカ経済は「力強さ」を維持し、景気後退を回避するだろうと話した一方、「危険性は明らかに高まっていて、安心できる基準を超えている」と指摘した。

(英語記事 Share markets tumble as recession fears grow