2019年08月15日 15:13 公開

中国政府は香港で続く反政府・民主化デモでの衝突について、「テロに近い行為」だと述べ、批判を強めている。

数千人が集まった香港国際空港でのデモでは平和的な座り込みが続いていたものの、13日に一部のデモ参加者が警察と衝突。中国はこれを「法的・倫理的な一線を越えた暴力犯罪」と非難した。

中国当局が一連のデモをテロ行為と結び付ける発言をしたのは、この1週間で2度目となる。中国側が香港の現状にしびれを切らしており、介入する可能性が高まっているとみる向きもある。

アメリカ政府は、「中国の人民武装警察部隊が香港との境で行動していることに深い懸念」を表明し、香港の自治を尊重するよう求めた。

ただし、ほとんどの専門家は今のところ軍事介入の可能性は低いとみられている。

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犯罪容疑者の中国本土引渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をめぐって始まった反政府・民主化デモは、10週間にわたって続いており、鎮静化の兆しが見えていない。

デモ参加者は、香港が「一国二制度」の下で保持している自由が失われるのではないかと懸念している。また、民主化改革やデモに対する警察の暴力的な対応への捜査も求めている。

デモの多くは平和的に行われているものの、ここ最近は警察との衝突で終わることが多くなっている。

空港では何があった?

空港でのデモでは数百便が欠航となるなど混乱が続いたが、14日には空港の特定のエリアへのデモ隊の立ち入りを禁止する一時的な命令が出され、出発便の運航が再開された。

一部のデモ参加者は、混乱について利用客に謝罪するプラカードを掲げていた。

しかし13日には、デモ参加者を装った警官だと疑われた男性がデモ隊に襲われたことで事態は一変。こうした攻撃は、香港警察が12日、反政府デモの対応に、デモ参加者を装った警察官を動員したと認めたことを受けてのものだという。

この男性は後に、中国紙・環球時報(グローバルタイムス)の付国豪記者だったと明らかにされたが、本人の確認は取れていない。このほか、別の男性2人もデモ参加者から攻撃された。

付記者は翌日、国営メディアに出演し、自分は「違法や問題ある行動をとったとは思わないので、暴力を受けるべきではない」と述べた。

また、ソーシャルメディアに投稿された映像では、デモ参加者に警棒を奪われ襲われた警官が、参加者に必死に銃を向ける様子が確認できる。

警察は11日、地下鉄駅構内で催涙ガスや催涙スプレーなどを使ってデモの排除に当たった。その際の暴力的な様子がソーシャルメディアで拡散されて以降、デモ参加者と警察の緊張が高まっている。

中国・香港とアメリカ、異なる見方

BBCのマイケル・ブリストウ・アジア太平洋編集長によると、中国では香港でのデモの報道は慎重に管理されており、現在は環球時報の付記者が襲われた際の映像が積極的に流れているという。

中国政府の香港の出先機関は声明で、デモ参加者を「過激な暴力集団」と呼び、中国本土の国民への攻撃を激しく非難した。

また、前後の文脈には触れず、デモ参加者らが「警官を取り囲み、警棒を奪った」と説明している。

香港の警察は、この警官は「大きな命の危険にさらされた」と説明。銃を抜いたのは「緊急かつ必要な事態」だったからで、「慎重に行動した」と擁護した。

さらに、デモ参加者が男性らに行った行為は「拷問」だと述べ、これにからんで5人を逮捕したと明らかにした。

一方、アメリカでは連邦下院の外交委員が共同声明を発表し、中国が「平和的な抗議行動を暴力で押さえつける」可能性に懸念を表明した。その上で、一連のデモにおける「香港の人々の勇気ある努力」を称賛した。

米国務省も14日、香港への渡航に注意を呼びかけた。また、香港との境で行われている「中国の人民武装警察部隊の動き」に懸念を示し、双方に暴力行為を慎むよう訴えている。

これとは別に、衛星映像会社の米マクサー・テクノロジーズは、12日に撮影された深セン市のスタジアムの写真を公開した。スタジアムの中には、軍事車両か警察車両とみられる車両が集結している。

一方、デモ参加者の集団はインターネット上で、空港で起こった暴力行為について謝罪文を発表。「恐怖を感じていた」と説明している。

またロイター通信によると、13日朝には空港の到着ロビーに「きのう(12日)の出来事について深く謝罪します」というプラカードが掲げられていた。

「深刻な状況の中、不完全な判断をしました。謝罪を受け入れてください」

空港駅では、謝罪の言葉が書かれたビラとチョコレートを利用客に配るデモ参加者もいた。

(英語記事 China labels HK protests as 'near terrorism'