舛添要一(元厚生労働大臣、前東京都知事)
8月7日、小泉進次郎衆院議員がフリーアナウンサーの滝川クリステルと首相官邸を訪れ、安倍晋三首相と菅義偉(よしひで)官房長官に結婚を報告した。滝川の妊娠も同時に発表された。
驚いたが、うれしいニュースである。私は早速、「ダブルでおめでとう。政界は、嫉妬、足の引っ張り合い、裏切りと魑魅魍魎(ちみもうりょう)の跋扈(ばっこ)するところ、風当たりも強くなると思うが、健康に留意して乗り切ってほしい。滝クリ効果で、小泉議員の国際的活躍も広がる。人事では出世を焦らないことだ」とツイッター上で祝意を伝えた。
特に、進次郎氏は外交などの国際的な仕事をあまりしたことがないが、外国語にも堪能な夫人のサポートで世界に羽ばたく政治家に成長してほしいと思う。本当に良いカップルが生まれたことを祝福したい。
ただ、世襲でない議員たちは、親の地盤を引き継ぐ2世たちには分からない苦労がある。また、結婚しようが、新聞に1行も書かれない議員もいる。
そういう意味で、非主流派の議員から見れば、進次郎氏は恵まれているわけで、嫉妬の対象となりうるのである。その点を注意しないと、政治の世界では思わず足をすくわれることがあるので、あえて警告をしたのである。
本稿では、その警告と危惧について、もう少し詳しく書く。せっかく誕生したスターには大きく成長してもらいたいからである。

まずは「官邸での発表」という手法である。官邸で、芸能ネタには慣れていない政治部記者を相手に、ちゃっかりと結婚を国民に知らせたことにも「公私混同」という批判が集まっている。その批判も一理ある。
参院選後の臨時国会も閉幕し、広島「原爆の日」の翌日、しかも週刊誌がお盆休みで発刊されない時期である。そして、午後のワイドショーに間に合う時間帯、官邸からという「大本営発表」で権威づけるという、マスコミを熟知して、何から何まで計算し尽くした芝居である。