これまで一切マスコミには知られていなかっただけに、大きなサプライズとなって、このニュースは日本国中の話題となったのみならず、世界にまで発信された。

 しかも、8月10日発売の『文藝春秋』9月号には、「菅義偉×小泉進次郎<初対談>令和の日本政治を語ろう」という対談記事まで掲載されている。そこには、進次郎氏の入閣を「良いと思う」とか、進次郎氏が「ポスト安倍」の有資格者であり、「早すぎるということはない」という菅氏の見解が示されている。雑誌は発売日より1〜2日前には中身が分かるので、対談効果も念頭に置いた戦略だとも言われている。

 日本のマスコミは大フィーバーで、テレビ局はワイドショーなどで朝から晩まで、このニュースで持ちきりである。日韓関係悪化、米中貿易摩擦、米国の銃乱射事件、広島や長崎の原爆の日、北朝鮮の短距離ミサイル発射などのニュースが小さな扱いとなってしまった。

 進次郎氏が問題というよりも、マスコミを含め大衆迎合型のポピュリズムに染まってしまった日本社会に危機感を覚える。前日の6日には、女子ゴルフの渋野日向子が全英女子オープンで優勝した話題で、日本全国が歓喜に包まれた。

 これまた、テレビ局のワイドショーは横並びで特番である。夏休みで夏枯れの時期に、続けて二つのサプライズでネタが切れず、視聴率を稼げるとあっては、テレビ局は笑いが止まらなかったであろう。

 そして、その祝賀ムードには逆らえない「空気の支配する」日本で、今がチャンスとばかりに巨悪が裏で何をやっているか分からない。まさに日本は太平天国である。喜ぶべきか、悲しむべきか。

 国会議員と閣僚を経験した私には、進次郎氏は田中真紀子氏によく似ていると思っている。彼女が外務大臣だったとき、私は参院外交防衛委員会のメンバーとして委員会運営に苦労しただけに、その虚像と実像を間近に見てきた。
自民党総裁選に立候補した小泉純一郎氏(右)のスーツに付いたほこりをとる、応援に駆けつけた田中真紀子議員=2001年4月20日
自民党総裁選に立候補した小泉純一郎氏(右)のスーツに付いたほこりをとる、応援に駆けつけた田中真紀子議員=2001年4月20日
 まず、両者の父親はともに自民党総裁、内閣総理大臣経験者であり、しかも戦後の日本政治を大きく動かした大物である。

 サラブレッドであるから、それだけで世間の注目を集める。種牡馬に例えると、最近逝ったディープインパクトとキングカメハメハの仔のようなもので、血統書だけで何千万円もの値がつく。