この調査で興味深いのは、経済的な階層分析に近い視点があることだ。被害者と加害者の車種や車の価格による分類をしている。

 その分類によると、加害者の40%が500万円以上の四輪車に乗っていたことだ(2番目に多いのは200万円以上499万円までの四輪車で29%)。一方被害者は、高級車両(500万円以上の四輪車)はわずか10%で、調査対象の中で最もウエートが低い。

 被害者の車種で一番多かったのが、200万円から499万円までの四輪車で40%、次いで200万円未満の四輪車が35%となり、合わせて8割近くになる。トラックは被害、加害両方ともに1割程度である。

 つまり、中高年の高級車を運転している男性が、中年の比較的安い車に乗っている多くの場合は男性をあおっているということが、この調査からイメージとして浮かび上がる。今後、この典型例が正しいかどうか、より緻密で包括的な調査が行われることを期待したい。

 あおり運転の発生しやすい時間について、ドイツなどの研究では、車が集中する通勤時間帯だという。ただし日本の上記調査だと、時間帯・曜日では目立った違いがない。

 あおり運転が発生するメカニズムは、「怒り」だという。「路上の激怒=ロードレイジ」と専門的には名付けられている。

 このロードレイジが発生するメカニズムは、道路という公共空間と運転手が互いに閉ざされている匿名性の高い空間にいることが、環境的要因として重要視されている。この場合、交通心理学や社会心理学からの視点は、それぞれの専門家の考察を参考にすべきだ。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
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 特に、道幅の広い公共道路では多くの人が参入する。交通心理学では、このとき多くの人との交流が突然に発生することで、対人行動が攻撃的なものになりやすいという。いわば、過剰警戒しているのである。

 また、車の中にいるために、互いがコミュニケーションを取りにくい状況にある。例えば、道を譲ってくれたときには、譲られた車が軽くクラクションを鳴らしたり、ハザードランプをつけたりして、相手に「あいさつ」することがあるだろう。