2019年08月22日 12:39 公開

ドナルド・トランプ米大統領は、デンマークのメテ・フレデリクセン首相がグリーンランドの売却を拒否したことについて、「nasty(嫌な、意地悪な)」発言だと批判した。

トランプ大統領は先週、グリーンランド買収に関心があると話した。しかし、フレデリクセン首相はこの提案は「馬鹿げている」と一蹴。また、これを受けてトランプ氏がデンマーク訪問を取りやめたことを「残念だ」と話していた。

トランプ氏はデンマーク女王マルグレーテ2世の招待で、9月2日からデンマークを訪問する予定だった。

トランプ氏は21日、ホワイトハウスで記者団に対し、「馬鹿げていると、そのアイデアは馬鹿げていると言った(フレデリクセン)首相の発言は、いやな発言だったと思う」と話した。

「不適切な発言だと思う。ただ、『いいえ興味はありません』とだけ言えばよかったのに」

また、「フレデリクセン首相は僕ではなくアメリカ合衆国に話しているんだ。アメリカに対して、そんな口の聞き方はない。少なくとも僕が率いている間は」と続けた。

さらに、ハリー・トルーマン元大統領も以前、グリーンランドの買収をデンマークに持ちかけたと指摘した。

トランプ氏はその後、ツイッターでもデンマークへの批判を続けた。

「念のために言うと、デンマークは北大西洋条約機構(NATO)への出資に国内総生産(GDP)の1.35%しか払っていない。富裕国なのだから2%は払うべきだ。アメリカが欧州を守っているのに、NATO28カ国中、2%を出資しているのは8カ国だけだ。アメリカはそれよりももっともっと高水準を維持している。私のおかげで、これらの国々は1000億ドルの追加出資を約束したが、こちらが提供する素晴らしい軍事防衛に足る支払いに達していない。残念だ!」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1164228805562552326

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1164228810310426624?s=20


トランプ氏は先週、グリーンランド買収に関心があるという報道を認めた。アメリカの領土との交換も視野に入れているかとの質問には、「色んなことが可能だろう」と答えていた。

「これは大きな不動産取引だ」

19日には、グリーンランドの小さな村に金色の高層ビルが建つ加工写真とあわせて、「グリーンランドでこんなことはしないと約束する!」という冗談ツイートを投稿していた。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1163603361423351808


デンマークの反応は?

フレデリクセン首相は21日、グリーンランドの売買は不可能だという主張を繰り返した。

資源が豊富なグリーンランドの売却は、自治政府のキム・キールセン首相が「はっきりと拒否」しており、「もちろん私もその立場を共有している」と述べた。

さらに、トランプ氏のデンマーク訪問は、「デンマークとアメリカの近しい関係を祝う機会」になるはずだったと話した。

「今回の件が我々の良好な関係性を変えることはなく、課題に取り組むための対話も続けていく」

また、トランプ氏への招待は「有効なままだ」と話し、「歓迎の準備は進んでいたので」、訪問取りやめは残念だと述べた。

デンマークの政治家からは、批判の声が相次いでいる。

デンマークのポピュリスト野党・デンマーク国民党のクリスチャン・トゥールセン・デール党首は、訪問中止は「茶番」だと指摘した。

デール氏は「この男は何を考えているんだ? エイプリルフールの冗談にしてもだ」とツイートしている。

保守党のラスムス・イヤーロフ議員は、「デンマーク人として(そして保守党員として)これは信じがたい。トランプがデンマークの(自治を持っている)一地域が売り出し中だと思う理由などどこにもないし、みんなが準備して待っている訪問を失礼にも中止した。アメリカのどこかは売り出し中なのか? アラスカ? もっと敬意を見せてほしい」とツイートし、トランプ氏にはデンマークへの敬意が欠けていると批判した。

https://twitter.com/RasmusJarlov/status/1164009377105358849


クリスティアン・イエンセン外相は、トランプ大統領の動きは「まったくの混乱」を招いたと指摘した。

なぜグリーンランドに興味を?

トランプ大統領は、石炭や亜鉛、銅、鉄鋼といったグリーンランドの天然資源に興味を持っていると報じられている。

しかしグリーンランドは現在、予算の3分の2をデンマーク政府に頼っている。自殺率やアルコール依存症、失業率も高い。

欧州と北米をつなぐ位置にあり、戦略的にも重要だという理由から、アメリカは長年この世界最大の島に興味を持っている。冷戦時代から空軍基地やレーダー基地を設置し始め、アメリカ北部における弾道ミサイル早期警戒システムの一端を担っている。

一方、気候変動による新たな北極圏での航路開通で、この地域の氷の溶解が早まっているという批判もある。

また、中国も近年、この地域に興味を持っているとされる。


(英語記事 Trump lashes out at 'nasty' Denmark over Greenland