一方、中長期的視点に移ると、問題は複雑になっていく。関税競争の結果、米国と中国が関わる国際的な部品供給網(サプライチェーン)が変貌し、それが各国経済の足かせになることもあるだろう。お金が不足するだけでは解決できない問題も生じるだろう。

 中長期的な問題は、米大統領選の推移のような政治的な要因もあり、不透明だ。だが、取りあえずお金の不足している事態だけはどうにかしないといけないことは、自明である。

 そこで日本経済を見てみよう。先述の株価暴落や、円ドル相場で見ると、為替レートも最近は円高傾向が進展している。

 「円高」は簡単にいえば、デフレの進行とほぼ同じである。デフレは日本経済の悪化を示している。お金が足りないのでモノを買うことが十分にできない。そういう日本経済の状況を、国際的なお金の観点から見直したのが「円高」である。

 以下の図表は、21世紀に入ってからの日本の為替レートの推移を描いたものである。
 この図表での注意点は「購買力平価」である。これは日本とアメリカの長期的な為替レートの水準である。

 ただし、21世紀に入ってから、現実の為替レートはこの長期的な水準よりも「円高ドル安」で大半が推移している。2013年に購買力平価を上回る円安水準になるまで、ずっと「円高ドル安」である。これを「円高シンドローム」といっている。

 円高はデフレ、そして不況の裏返しでもある。それが長期継続していたことを示すものでもある。

 つまり、円高シンドロームとは、日本の長期デフレ不況の言い換えでしかない。それが解消されていったのが、13年以降ということになる。