2019年08月29日 13:07 公開

28日朝、イギリスでは劇的な展開を迎えた。7月24日に首相に就任したボリス・ジョンソン氏が、議会を1カ月間、閉会することを決めた。つまり下院議員は、さらに限られた時間の中でブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を協議することとなる。

議会は、EU離脱期限の10月31日が目前に迫る中、5週間にわたって閉会される。ジョンソン首相は、新たな会期を10月14日に始めたい考えだ。

例年、各党が党大会を開催することから、議会は9月から10月にかけて約3週間の休会に入る。しかし今秋は、9月10日ごろに議会が閉会することとなる。

時間がほとんど残されない中、議員にとって、合意なしのEU離脱を食い止めることは難しくなるだろう。

今回の決定について、EU残留派はクーデターだと反発しているほか、一部の離脱派も批判している。

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ちょっと待って、何があった?

今回、議会を開かないのは、通常の休会ではない。ジョンソン氏は、EU離脱期限まで約9週間しか残されていない肝心なこの時期に、今会期を切り上げるというのだ。

イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、議会が離脱協定を3度にわたり否決したため、EUは離脱期限を10月31日まで延長した。

ジョンソン氏は「やるか死ぬか」だと述べ、合意ありなしに関わらず、ブレグジットを実現すると誓っている。

一方、残留派の下院議員のほとんどや、与党・保守党議員の多くは、合意なしの離脱を望んでいない。物価上昇など、イギリス経済へ打撃を与えるかもしれないと恐れているからだ。

彼らは合意なし離脱の回避を求めているが、それが失敗に終わった場合、内閣不信任案を提出する可能性がある。

議会閉会は合法なのか?

議会の閉会は合法だ。通常、会期末と次の会期までの間に起こるものだ。しかし、今回は状況が異例だった。

政府は法律を破っているわけではないため、異議申し立てを行うことは難しいだろう。議会手続きにのっとり、ジョンソン氏は、EUからイギリスを離脱させるという、自身の選挙公約を実現しようとしている。

下院議員は、この閉会に従い、合意なしブレグジットのリスクを負うこともできるし、内閣不信任案を提出することもできる。

ジョン・バーコウ下院議長は、今回の閉会決定は、議員にブレグジットを協議させないことを狙った「憲法侵害」行為だとしている。

女王について

女王には発言権はあるが、限定的だ。形式上、政府は議会閉会の承認を求める必要があった。

これは通常、形式的なものにすぎない。女王は、政治とは切り離された立場にある。仮に承認を拒否したとしたら、前代未聞だったが、女王は拒否しなかった。

次に何が起こる?

いい質問だ。

議会は9月3日に再開されるものの、その翌週から閉会されることとなる。

ジョンソン氏がやりたいようにやる場合、EU離脱期限の2週間半前にあたる10月14日に、議会が再開される。

一方、9月10日以前に内閣不信任決議が可決されれば、10月に解散総選挙となる可能性がある。

解散総選挙でもブレグジット実現?

一概には言えない。保守党が勝利すれば、答えはイエスだ。保守党は、先週の世論調査での支持率が約31%となり、野党を上回っている。

最大野党・労働党は前回調査から2ポイント上げて、21%だった。ブレグジット支持傾向にある、労働者階級が住む地域と、残留支持傾向にあるロンドンなどの都市部との間で、隔たりがある。

しかし、保守党の勝利が、必ずしも確実というわけではない。中道左派・自由民主党やスコットランド国民党といったほかの党は、いかなる条件のブレグジットにも、かたくなに反対している。

そして、主要政策に、EUからの離脱をかかげる、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首もいる。

流動的な政治状況や、世論調査での拮抗(きっこう)を考えると、仮に誰かが過半数を獲得する場合、それが誰になるのかを予想するのは難しい。

この状況では、いかなる選挙の予測も困難だ。テリーザ・メイ前首相に聞いてみるといい。彼女は2017年に解散総選挙に打って出たが、過半数割れに追い込まれた。そのため、10議席を獲得した北アイルランドの保守政党、民主統一党(DUP)の協力を得るかたちとなった。

結果的に、メイ氏は、北アイルランドがEU単一市場の一部ルールに従うことが定められた離脱協定を承認することとなった。

そして現在に至る。

(英語記事 Brexit and Parliament: What just happened?