澤田克己(毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 肌感覚で感じていた「嫌韓は若者より高齢者に多い」ということをコラムで取り上げたところ、異論が続出しているという批判的な記事がネット上に出た(「毎日新聞『なぜ嫌韓は高齢者に多い?』の記事に異論でまくり」)。私のコラム(「なぜ嫌韓は高齢者に多いのだろうか」『毎日新聞政治プレミア』)は昨年10月に実施された内閣府の「外交に関する世論調査」の結果に世代差が大きかったことを紹介したうえで、世代間で異なる韓国イメージを抱いていることが背景にあるのではないかと考察したものだ。象徴的な言葉で説明するならば、高齢者は「軍事政権」などの暗いイメージをかつて抱いていた一方、若者たちは「K-POP」に代表される明るいイメージしか知らないということだ。

 もちろん単純な問題ではないので、定年後に感じる社会からの疎外感も無視できない要因かもしれないと指摘した。そして世代間の意識差が大きいことは明確に数字で出ているものの、その原因はこれから取材を重ねていきたいと締めくくった。

 アゴラによると、「高齢者は最初から嫌韓だったわけじゃない。いろいろ知ってしまったから嫌韓なのだ。若者はこれから知るから嫌韓予備軍」というような批判がネット上に出たようだ。中には「嫌韓=韓国を批判する側には問題がある」という認識を前提にしているコラムだと受け止めた人もいたらしい。

 きちんと根拠を示しての批判に何ら問題がないのは当然だし、他者の行動を不快に思うこと自体に問題があるとは言えない。問題なのは「排他主義的」としか言えないような根拠のない決め付けや排撃、差別的言動である。私のコラムが健全な批判まで問題視するような誤解を生んだのであれば、その点は力不足だったと反省したい。

 ただし、内閣府の世論調査を見る限り、現在の対韓意識には世代間の温度差が確実に存在する。上記コラムでは昨年度調査だけを取り上げたのだが、ここでは少し年代をさかのぼって考えてみたい(秋に調査する年が多いのだが、たまに翌年1月に実施という年がある。内閣府に問い合わせたところ、「同じ年度なので」という回答だった。以下に紹介する世論調査の結果はすべて「年度」として集計されているものである)。

 「韓国に親しみを感じるか」という調査項目が入ったのは1978年で、40.1%だった。その後は、光州事件翌年の81年に34.5%に下落したり、ソウル五輪のあった88年に50.9%とはね上がったりという例外的な年があるものの、97年(37.9%)までおおむね4割前後の数字で安定していた。98年(46.2%)から明確な上昇傾向に入り、2000年に88年以来初めての5割超となる51.4%。日韓がサッカー・ワールドカップ(W杯)を共催した02年が54.2%で、09年に過去最高の63.1%を記録した。

 反転するのは、李明博大統領(当時)が島根県・竹島に上陸した直後の調査となった12年で、前年比23ポイント減の39.2%にまで落ち込んだ。朴槿恵政権初期に慰安婦問題をめぐって日韓関係が悪化した時期にはさらに下落し、慰安婦問題での日韓合意前年の14年には過去最低の31.5%となった。そこから徐々に持ち直して、昨年は90年代後半までと大差ない39.4%だった。ここまでが世代を通じた全体の流れである。
新大久保駅前(ゲッティイメージズ)
新大久保駅前(ゲッティイメージズ)
 次に、「親しみを感じる」と答えた人が5割を記録した2000年以降の調査を見てみよう。興味深いのは、いつも大きな世代差があるわけではないことだ。

 常に若者の方が韓国を好意的に見ているのだが、好感度が過去最高だった09年には20代と70歳以上の差は5ポイントしかなかった。ところが、日韓関係が暗転した12年にはこの差が30ポイントに拡大し、13年も24.2ポイント、好感度が最悪となった14年に31.8ポイントとなった。15〜17年にはいったん格差が縮小したが、18年は再び27.8ポイントに広がった。好感度の低下を主導したのが高齢層であることがうかがえる。