2019年09月01日 12:22 公開

イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に向けて英議会を閉会するというボリス・ジョンソン新首相の決定に反発し、イギリス各地で31日、数万人が抗議行動に参加した。

「クーデターを阻止しろ」と名づけられた全国デモは、ブレグジット反対派の団体が組織した。マンチェスター、リーズ、ヨーク、ベルファスト、リヴァプールなどの国内30カ所以上の市町村で大勢がデモ行進した。ロンドン中心部は「ボリス・ジョンソン、恥を知れ」と繰り返す人たちで埋め尽くされ、官庁街のホワイトホールのほか繁華街のウエストエンドでもデモ隊によって交通が動かなくなった。

過去にも様々な大規模集会の舞台となってきたトラファルガー広場にも大勢が座り込んだ。その後、「誰の民主主義だ? 私たちの民主主義だ」と唱えながらバッキンガム宮殿に向けて行進した。トラファルガー広場はホワイトホールとウエストエンドとバッキンガム宮殿の中間に位置する。

その一方で、ジョンソン首相を支持する少人数のグループも、議事堂のあるウエストミンスターに集まり、集会を開いた。

ロンドン警視庁は、抗議行動に関連して3人を逮捕したと発表したが、それ以上の詳細は明らかにしていない。

野党・緑の党は、ロンドン市議会のキャロライン・ラッセル議員が逮捕者に含まれていると明らかにした。同党のシャーン・ベリー共同党首は、「キャロラインが民主主義のために立ち上がったことを誇りに思う」とツイートした。

EUとの離脱協定のあるなしに関わらず、10月31日にブレグジットを敢行する意向のジョンソン首相は28日、9月半ばから約1カ月にわたり、議会を閉会すると発表した。もしこのまま首相の意向通りに閉会が実現すると、議会は祝休日のほか23日間にわたり審議が停止する。

ブレグジット期限の10月31日を目前にこれほど長期にわたり議会を閉じるという首相の決定は、議会に審議させないままブレグジットを実現するための策だと、批判が高まっている。

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リヴァプールでも市内中心部で抗議集会があり、市議会はツイッターで「リヴァプールの『我々の民主主義を守ろう』抗議が本格化し、セント・ジョージ・ホールの近くに大勢が集まっている」と書いた。

https://twitter.com/lpoolcouncil/status/1167778294294622208?s=20

ポーラ・カーライルさんは、国民投票でEU「残留に入れた人も離脱に入れた人も」一緒に並んで抗議しているところに、自分も肩を並べるのが「誇らしい」と話した。

「私たちを黙らせようとしても、そんなことは許さない。私たちがいるからこその権力だ。ジョンソン氏を阻止するまで、私たちは自分の力を示し続ける」

エクセターでデモに参加したバーディー・ウォルトンさん(55)は、国民健康サービス(NHS)の薬剤師。デモに来るのは初めてだが、ジョンソン首相の計画に反対するために参加したという。

「これは、自分の言い分は精査に耐えないと怖がっている男の仕業です」とウォルトンさんは批判した。

大学街オックスフォードでは、ジョンソン首相が学んだオックスフォード大学ベイリオル・コレッジの前に、EU旗などを手にした人たちが集まり首相に抗議した。

スコットランド・グラスゴーの抗議集会に参加した、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、各地のデモは「合意なしの離脱など認めない」と首相に告げているのだと強調した。

「あらゆるところでデモが行われている。今の状況に大勢が怒り、憤慨しているからだ」とコービン氏は、政府を批判した。

労働党からはジョン・マクドネル影の財務相とダイアン・アボット影の内相が、ロンドンの抗議集会で演説した。

ダウニング街の近くで壇上から演説したアボット氏は、「ボリス・ジョンソンが議会を閉じ、イギリスの一般市民の声を封じ込めるなど、許すことは出来ない」と強調した。

ブリストルでは野党・自由民主党の元議員スティーヴン・ウィリアムズ氏が、議会を閉じることでジョンソン首相は、「私たちの時代に一番大事な決断をするのに、議会にあと4日の猶予しか与えなかった」と批判した。

一方で、政府のサジド・ジャヴィド財務相はBBCラジオの番組で、首相による議会閉会を擁護した。

「この時期に議会が閉会するのは、ごく普通のことだ。議会を閉会するのはまったく正しいし適切だ。この首相と政府がこの時間を使って、政策目標を確定するのはまったく正しい」と、ジャヴィド氏は述べた。

保守党党首選に出馬していた今年6月、議会閉会はあり得ないと発言していたことを指摘されたジャヴィド氏は、「発言の文脈が違う」と説明した。

2016年の国民投票の直前に殺害された労働党のジョー・コックス議員の名のものとに作られたジョー・コックス基金は、ブレグジットをめぐる賛成派と反対派の双方の怒りが、「もっと危険なものに形を変えてあふれ出たりしないよう」警告した。

BBCの調査によると、この1年間で下院議員に対する脅迫や攻撃的言動が急増している。

一方で、ブレグジットの交渉期間が十分に延長されるかブレグジットが停止されるまで議会を閉会しないよう求める政府・議会への請願には、すでに160万人以上が署名している。この請願制度では10万人以上が署名したものは、議会が審議する決まりとなっている。

30日にはかつて保守党から首相になったサー・ジョン・メイジャーが、議会閉会を法廷で争うため、反ブレグジット活動家のジーナ・ミラー氏と協力することにしたと発表した。

メイジャー元首相は、ジョンソン首相がこの時期に議会を閉会するのは、合意なしブレグジットに議会が反対するのを阻止するためだと考えている。

これに対してジョンソン首相は、合意なしブレグジットをごり押しするために議会を閉会するのだという憶測は、「まったく事実と異なる」と反論している。

ドミニク・ラーブ外相も、「これが憲政上なにかとんでもないことだと憤慨するのは、ナンセンスだ」と述べた。

(英語記事 Parliament suspension: Thousands protest across the UK