2019年09月03日 11:42 公開

オーストラリア政府は8月30日、同国東海岸にある世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」の生態系に関する長期的な見通しについて、「悪い(poor)」から「非常に悪い(very poor)」に引き下げた。

グレートバリアリーフ海洋公園局(GBRMPA)による、「グレートバリアリーフ」の生態系に関する報告書は、5年毎に公表することが法律で定められている。

最新の報告書によると、人間がもたらしている地球温暖化による海水温の上昇は、依然としてサンゴ礁にとって最大の脅威となっている。サンゴ礁を保護するための対策について、「かつてないほど緊急を要する」としている。

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全長約2300キロにわたるグレートバリアリーフは、1981年に世界自然遺産に登録された。しかし近年では、海水温の上昇によりサンゴが死滅するなど、長期的な影響を受けている。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は、「危機遺産」リストへの登録を検討する方針だ。

これまでの報告書の内容

GBRMPAが2009年に初めて作成した報告書では、グレートバリアリーフは「明白に、管理の行き届いた将来と、確実性に乏しい将来との分岐点にある」との見解を示していた。

2014年の2回目の報告書では、グレートバリアリーフは脅威に対抗するために努力する「必要に迫られている象徴」だとされていた。

最新の報告書の内容

最新の報告書は、「状況はさらに悪化している。オーストラリア政府は、変わり果て、回復力が乏しいサンゴ礁を懸念している」、「サンゴ礁への脅威は複数あり、累積的で増加傾向にある。今こそが、サンゴ礁の長期的見通しを改善するための好機だ」としている。

2016年と2017年には、海水温上昇により、サンゴと共生する藻が失われる「白化現象」が進んだ。サンゴは死滅し、他の海洋生物の生息地の破壊をもたらした。一部は良い状態が保たれているものの、全体的な状況は悪化する一方だ。

科学者によると、1500キロにもわたる白化の影響により、グレートバリアリーフでは、新たなサンゴの数は89%減少したという。

サンゴ礁は救えるか

報告書が公表されて以降、環境保護団体は気候危機に取り組むため、そしてグレートバリアリーフが更に保護されるため、より大規模な世界的対策を呼びかけている。

オーストラリア海洋保護協会(AMCS)のイモーゲン・ゼソーヴェン氏は、「私たちには、この状況を方向転換できる。首相が、グレートバリアリーフを守りたいと考える政府を率いるほど、気にかけていればの話だが。さんご礁を守るということはつまり、温室効果ガスの排出量を減らすために国内外で先導者になるということだ」と述べた。

「今回が、3回目の長期的見通しに関する報告書だ。我々は警告に10年、温室効果ガスの上昇に10年、サンゴ礁が大惨事へと向かっているのを目の当たりにして10年も費やした」

オーストラリア政府は昨年、サンゴ礁保護に5億ドル(約357億円)を投じると表明していた。

(英語記事 Great Barrier Reef outlook is 'very poor'