上西小百合(前衆院議員)

 7月の参院選は男女の候補者数をできるだけ均等にするよう政党に努力義務を課す「政治分野における男女共同参画推進法」施行後、初の国政選挙だったが、女性の当選者は28人で前回と同数にとどまった。

 女性ゼロの地方議会がまだ2割もあるように、女性議員が増えないことが問題視されている。この問題を解決すべく議会にクオータ制(議員や会社役員などの女性の割合を一定数起用する制度のこと)導入を提唱する声もあるが、私はこれに大反対だ。

 有権者はやみくもに女性議員をつくり出したいわけではない。女性の声を代弁してくれる議員がほしいのである。

 れいわ新選組から重度障がいのある議員が誕生した際に、障がいのある方とお話したら「議員さんがもっと障がい者の声を拾ってくれたら行かなくてええんや。弱者の声を聞いて代弁してくれたら何も本人が行く必要ないやん」と仰っていた。

 確かにその通りで、話すことすら大変な労力を要する重度障がい者が国会の激務に耐えなければ、障がい者に関する制度が満足いくものにならないというのは国民の声を代弁すべき国会議員の不徳の致すところとしか言いようがなく情けない話だ。

 しかし、志があるにもかかわらず立候補をしにくい人がいるのは問題だ。私は2012年の冬、29歳で衆議院議員選挙に初めて立候補したのだが朝から晩までカメラがはりつき、帰宅後ネットニュースをみると自分が選挙を戦っている記事が大量に掲載されていた。当選後も当時最年少女性議員ということで多くの取材を受けた。実際、国会では見渡す限りほとんどが男性議員で衆議院議員の平均年齢は約53歳。若い女性が珍しいという状況では女性に対する福祉課題に取り組むのは容易ではないだろうなと初登院時の心中は穏やかではなかったことを覚えている。

 私が国民から受けた要望のひとつに子宮頸(けい)がんワクチンへの副反応問題がある。けいれんや痛みなどワクチンの副作用を疑う症状を発症しても、ワクチンとの因果関係を示す証拠がないために一般病院の医師はワクチンとの因果関係の可能性を認めることはほとんどなかった。

 ゆえに救済措置を受けられずに高額な治療費がかかってしまうので、被害者救済とワクチンの見直しをという声だった。当時私が所属していた小さな野党である維新には単独で政策を実現することは不可能なので、与党の医師免許をもつ議員や女性議員のもとへと奔走していたのだが、最も私の支えになってくれたのは、乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟の会長を務めた野田聖子議員だった。

 “ワクチンではなく検診を受けやすい環境をつくることでがん予防を進めたい”という思いを込めた私の提言を厚労大臣に伝えてくれたことは非常に有り難かったし、その後の私の副作用に悩む方々のための活動の礎(いしずえ)となっている。このようなデリケートで女性特有の課題に関しては女性議員の「存在」が欠かせないと実感した案件だった。
衆院予算委員会で平成31年度予算案の採決に反対し、野田聖子委員長に詰め寄る野党理事ら=2019年、衆院第1委員室(春名中撮影)
衆院予算委員会で平成31年度予算案の採決に反対し、野田聖子委員長に詰め寄る野党理事ら=2019年、衆院第1委員室(春名中撮影)
 さて、それにもかかわらず、これほどまでに女性議員が増えない理由を挙げていく。

 一つ目は、最近問題視されだした「票ハラ」=「1票の力」を振りかざしハラスメント行為をするモンスター有権者の存在だ。