田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 韓国の「疑惑のデパート」ともいえる曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官が9日、法相に任命された。この人事は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がマスコミや野党の反対を押し切って強行したと報じられている。

 曺氏をめぐる疑惑は複数あるが、特に注目を浴びている問題が2件ある。一つは、東洋(トンヤン)大で教授を務める曺氏の妻が、娘の釜山(プサン)大大学院入試について不正を行った問題である。

 娘が医学部受験をする際に「娘が東洋大から総長賞を受けた」と、曺氏の妻が受験書類に記入した。ところが、この表彰の事実はない。

 さらに、問題発覚後、曺氏の妻が東洋大の総長に事実隠蔽(いんぺい)を電話で依頼したとされている。韓国の検察は、既に曺氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴している。

 もう一つは、曺氏の家族が行った私設ファンドへの投資が不正ではないか、というものだ。このファンドは、家族の投資を受けた後、公共事業で多額の収益を得ている。

 問題の焦点は、曺氏の政治的影響力がどの程度関与しているかにあるようだ。この投資問題については、やはり検察が既に動いていて、私設ファンドの代表らに横領容疑で逮捕状を請求しているという。
韓国大統領府で開かれた曺国氏(右)の法相任命式で記念撮影する文在寅大統領(左)=2019年9月9日、ソウル(聯合=共同)
韓国大統領府で開かれた曺国氏(右)の法相任命式で記念撮影する文在寅大統領(左)=2019年9月9日、ソウル(聯合=共同)
 曺氏については、疑惑が次から次へと出てくるので、韓国国内で「タマネギ男」と揶揄(やゆ)されているらしい。でも、本当にただのタマネギならば、むいてもむいても疑惑だけで、最終的には空っぽになってしまうだけだ。